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Page 1: フランスのバレンタインデー  /  日本では、どうしてチョコレートなの?
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バレンタインデーの起源

キリスト教では、2月14日は聖バレンタインの日で、この聖人は愛の守護聖人となっています。各職業には守護聖人があるのですが、聖バレンタインはミツバチを飼育する人の守護聖人です。

でも愛の日であるバレンタインデーの起源は、定かではないようです。そもそも歴史家によれば、キリスト教にはバレンタインという名を持つ聖人が7人もいるそうで、そのうちの誰がバレンタインデーの起源になった人なのか分からないのです。

最も知られているバレンタインデー起源説は、古代ローマ時代の皇帝クラウディウス2世の時世に殉教した聖バレンタインです。

当時のローマは戦争が絶えず、皇帝は兵士の獲得に苦労していました。男性たちは妻や子どもたちと別れるのを嫌がって、兵士になろうとしません。また戦場に行っても、残してきた家族のことを思うと勇敢な兵士にはなりません。そこでクラウディウス2世は、結婚と婚約を一時的に禁止したのです。

この命令に従わず、恋人たちの見方となって、ひそかに結婚式をあげ続けた司祭がいました。ヴァランティーノ司祭(英語ならバレンタイン司祭)です。彼の行いは発覚して、司祭は捕らえられます。

ヴァランティーノ司祭が投獄されていたときには、彼を慕う信者が牢獄を訪れました。その中に、生まれながら盲目の若い女性ジュリアがいました。気の毒に思った司祭は、神にジュリアの目が見えるようになるよう毎日祈ります。その祈りが聞きとどけられて、奇跡がおこりました。ジュリアの目が見えるようになったのです。

この手の話しを聞くと、なぜ現代には奇跡が起こらないのかと不思議になります・・・。

気の毒なヴァランティーノ司祭は、2月14日に首をはねられました。紀元270年頃のことです。

死刑を前にしたバレンタインは、「あなたのヴァランディーノより」と書いた手紙をジュリアに手紙を残します。この手紙はピンク色のハート形の便箋だった、などという話しもあります。そこまで行くと、やりすぎという感じがしませんか?

彼の遺言は、自分の墓に、ピンク色の花が咲くアーモンドの木を植えて欲しいというものでした。今日では、アーモンドの木は愛と友情のシンボルになっています。

殉教したヴァランティーノ司祭は、キリスト教の聖人とされました。


聖バレンタインが、愛の守護聖人として祝われるようになったのは、5世紀になってからだと言われています。

当時、2月15日は、家畜をオオカミから守る牧神ルペルスを祭るルペルカリア祭でした。春が訪れる時期。ルペルスは、ローマ神話に登場する豊穣の神です。この祭りでは、若者が多産安産のまじないに、女性をヤギのひもで打ちながら走り回ったとか。くじ引きで男女のカップルを作るということも行われたそうです。男女が自分の名前を書いた紙切れを壷に入れてくじ引きをして作ったカップルは、その1年の間デートするというものです。いづれにしても、無茶なことをしたものです・・・。

キリスト教会は、異教的な祭日をキリスト教の祭日に置き換えようとしていました。そこでルペルカリアの祭りも、聖バレンタインの祭りにすり替えられたのです。つまりローマ神話の豊穣の神の祭日が、愛を守った聖人の殉教日に置きかえられたわけです。

聖バレンタインは、どうも何かの宣伝に利用されてしまう聖人のようです・・・。

中世のバレンタインデー

中世には、若い女性が、デートする相手をして選んだ男性をヴァランタン(つまりバレンタイン)と呼ぶという習慣もあったそうです。選ばれた男性は、お礼にプレゼントする義務があったとか。このあたりで、チョコレート会社のアイディアが生まれたのでしょうか?

ところで中世のフランスでは、2月14日に若い女性たちが将来の伴侶を占うという習慣があったそうです。目に見える鳥によって占うものでした。もしrouge-gorge(ロビン)なら、結婚するのは船員。moineau(スズメ)なら幸せな結婚だけれど、夫は財産家ではない。chardonneret(ゴシキヒワ)なら、お金持ちとの結婚、という具合です。

住んでいる地方によって、見る確率が多い鳥が違うでしょう。ブルゴーニュ地方で鳥を探したら、スズメが最も多く、ロビンはたまに見るけれど、ゴシキヒワを見るのはとても珍しいというところです。お金持ちと結婚できると占いにでる人は、ごく少ないでしょうね。


ロビン(rouge-gorge)

ゴシキヒワ(chardonneret)
フランスにあるバレンタイン村

「あの聖バレンタインが眠っているのだ」と言われて、見に行った教会があります。教会の名前はサン・ヴァランタン。ブルゴーニュ地方の小さな村でした。連れて行ってくれた人も、深く調べていたわけではなかったようです。その時は信じましたが、今では、バレンタインには違いないけれど、バレンタインデーの起こりになった聖人ではなかったのではないかと思っています。

私が行った村では、バレンタインデーと結びつけて観光客を呼ぼうなどとはしていませんでした。でもフランスには、「ここがバレンタインの村!」ということで村おこしをしているところもあります。

フランス中部にあるサン・ヴァランタン村です。聖人の名を付けた村はたくさんあるのですが、サン・ヴァランタンという名の市町村は、フランスの中でも、ここだけなのだそうです。サイトはこちら
恋人たちが飲むワインとは?

友人カップルとレストランで食事をしたとき、「私たち、いつもサンタムールを頼むの」と言われたことがありました。おのろけなのです!

サンタムールというのはボージョレーの赤ワインです。サンタムール(Saint Amour)のAmourは「愛」なので、直訳すれば「愛の聖人」となるからです。


でも、バレンタインデーを祝ってカップルが一緒に食事するとなったら、フランスではシャンパンを選ぶのが普通ではないでしょうか?


ではフランス式に、愛し合っているカップルの皆様に、
楽しいバレンタインデーを祈ります!
1ページ目に戻る 作成: 2006年2月  更新: 2008年1月


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