ヒメコバンソウ (amourette)

 道端で見かける草の中で、この草は飛びぬけて美しいと思います。

 アムレット(amourette)という名前も可愛らしい! 「アムール(amour)」に「小さな」とするときの語尾が付いています。メゾン(家)をメゾネット(小さな家)とするときの言葉の作り方です。

 アムールは愛なので、アムレットは小さな愛をイメージしてください。辞書をひくと「かりそめの恋」などと訳が出ています。

 野に咲く花々を花瓶に生けるとき、これをあしらうと花が引き立ちます。米粒のように小さな穂ですから、たくさん使います。お花屋さんがカスミソウを入れて花束をつくるのと同じ扱い方ですが、こちらの方が、そよそよとした風のようできれいだと思ってしまいます。

 乾燥させても形が崩れません。

amourette (brize)

 風でゆらゆら揺れるし、穂は小さいので、何度写真をとってもピントが合いません。

 スキャナーしてみましたが、なんとも味気ない画像になってしまいました。

 確かにこんな風な形なのですが、実際にはもっと繊細なのです・・・。
 アムレットを仏和辞書で引くと「「コバンソウ」という訳語がでてきました。実際には、アムレットはコバンソウ(学名はBriza maxima)ではなく、「ヒメコバンソウ(学名はBriza minor)」に近いようです。

 コバンソウと名付けられたのは小判に似ているからでしょう。アムレットからは余り小判のイメージがありません。

 硬貨に例えるとしたら、フランスには「法王のお金(monnaie-du-pape) 」と呼ばれる草があります。日本語ではルナシア。

monnaie-du-pape (9月撮影)
 コバンソウよりずっと大きなお金ですね!

 フランスでは、庭先などで育てて、この果実の部分をドライフラワーにして飾っているお家がよくあります。
作成:2004年6月   更新: 2006年5月
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