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フランス人は森に行くのが好きです。天気の良い日などには、町に近い森の林道にたくさん車が停まっているので、事情を知らない人は何かのイベントが森で行われているのかと思ってしまうのではないでしょうか。
森をただ散策する人が多いのですが、花を探したり、キノコを探したりする人たちもいます。フランス人が好んで摘む森の花は、黄スイセンとスズラン。町に近い森などでは、これらの花は少なくなってしまっています。でも少し離れた森では、大勢で行っても摘みきれないほどたくさん咲いています。
ただし、県や市町村によっては、この野生の水仙を保護植物に指定していたり、摘む量のを制限しているところもあります。
寒かった冬が終わって、まだ森の木々には芽も見えないころ、スイセンの花が咲きます。人々が森の散歩を楽しむのもこの頃からでしょう。
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森にスイセンを摘みに行った日のこと |
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2003年3月中旬 |
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3月半ばともなると日も伸びて、夕方は7時を過ぎても、まだ太陽が沈みきっていません。月末には夏時間になります。
この日曜日、友人の家で、お昼をご馳走になりました。昼食が終わったのは午後4時ころ。腹ごなしを兼ねて、近くの森にスイセンの花を探しに行くことになりました。今の時期、森には花畑が広がっていて、とても美しいのです。
森に向かう途中ですれ違った車は、どれもスイセン探しの帰りのようす。花束が必ずあるのです。右の写真は、森の入り口で出会った人たちです。
こんなに花を摘まれたら、森の奥深くまでスイセンを探しに行かなければならないかと思ったのですが、森に入ってすぐのところに花畑が広がっていました。人口が少ない国の良さでしょう。今の時期、フランス人たちはこぞってスイセンの花探しに行くのですが、誰も摘まなかったかのように花畑が広がっています。
私たちもスズランの花束を作って、招待されていた家に戻りました。再び食前酒から始まって、8時ころから夕飯が始まりました。食べ残したお昼のご馳走に、新たな料理も加わって!
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ちなみに、フランス人がスイセンを摘むときには、こんな花束の作り方をします。
私は、もっと葉を入れた方がきれいだと思うのですが…。 |
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フランスの水仙は2種類 |
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この森に咲く黄水仙には色々な呼び名があるそうですが、私のブルゴーニュの友人たちは誰でも「ジョンキーユ」と呼んでいます。
ところで、 日本語で「水仙(スイセン)」といえる植物は、フランス語では2つの呼び名があります。「jonquille(ジョンキーユ)」と「narcisse(ナルシス)」。
庭に咲いたナルシスの花
Narcisse des poètes(詩人たちのナルシス) |
ギリシャ神話には、水面に映った自分の姿に恋を命を失ってしまった美少年ナルキッソスの話しがありますが、それは「ナルシス」と呼ぶ花の方です。
ジョンキーユは黄水仙、白い花が咲くのはナルシス、という分類ではないようです。
違いが分かっている人も少ないようですが、違いは葉の形によるという記述がありました。ジョンキーユの葉はカマボコ型、ナルシスの方は平らな葉。
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森に咲く黄色いスイセンは、普通は「ジョンキーユ」と呼ぶのですが、実際にはナルシスと呼ぶ方が正しいようです。実際、野生の黄水仙の学名「Narcissus
pseudonarcissus」にはナルシスの文字が入っているのです。
この黄水仙はそれ以外にも色々に呼ばれているようですが、「黄色いナルシス(narcisse jaune)」あるいは「トランペット・ナルシス(narcisse
trompette)」というものもありました。
森に咲く野生の黄水仙は、花屋さんで売られている普通の黄水仙より繊細なので、ナルシスと呼んだ方が相応しいようにも思えます。ただし、よく知られているナルシスの品種「詩人たちのナルシス」のような強い芳香はありません。
参考: CBNFC(フランシュ・コンテ地方の黄水仙に関する情報) |
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作成: 2003年5月 最終更新: 2011年2月 |
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