7つの麦の穂


7月初めの小麦畑

 収穫を待つばかりとなった穀物畑が広がる田園では、グリーンの色が遠のいています。

 友人たちと田園を散歩していたとき、実った麦を7つ取ってプレゼントされたことがありました。それによって1年の幸福が約束されるのだそうです。

 プレゼントといっても、つまりは誰かの畑の麦を摘んでしまったわけです! フランスの穀物栽培農家は何百ヘクタールもの土地を持っているのだし、人口も少ないので、麦畑を荒らすほどにはならないのでしょう・・・。

 自分でとった7つの麦の穂は、ただ束ねて飾っておくだけですが、器用に穂を編んだものも売られています。右の写真は、民宿を経営している農家でお土産用に売られていた麦の穂です。

 穀物の収穫が済むと、畑には藁を束ねたロールが転がります。家畜の飼料となるために運び出されるまでの間、この大きなロールが大地に点々と転がっている風景が、私はなぜかとても好きです。

 今年(2003年)は雨が降らないので穀物の収穫は落ち込み、家畜の飼育に必要な干し草も不足しているそうです。数年前には干し草が余り過ぎて廃棄されてしまったのが嘘のようです。

 干し草が足りないと連日のように報道されているので、干し草の価格がいくらなのかも勉強してしまいました。売値は1トンで約2000円。それに束ねたり運送したりする費用がかかると5倍近くなってしまうのだそうです。

 干し草1トンというのは、この写真にある丸い束が4個分くらいなのだそうです。こんなに大きなロールなので、5倍になっても安いと思ってしまいました。でも大量に使うからでしょう。干し草が足りなくて買わなければならない農家には、この旱魃は非常な痛手だそうです。


 上の写真は数年前見た野焼きの風景です。危険なので原則的には禁止されているのですが、南フランスのようには乾燥しないブルゴーニュ地方では大目に見られているようです。でも今年は、こんな風景は見られません。貴重な干し草は、政府の援助もあって遠くまでも運ばれたそうです。

 この写真を見て、風景が随分違うことに気がつきました。今年の牧場は草が枯れていて、こんなに青々していないのです。
更新: 2003年8月

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