雹の被害を受けたブドウ畑
 −ブルゴーニュ南部−

ブルゴーニュ・ワインの産地は、一般的には北から南へ5つの地域に分けられます。最も評価が高いのは、「黄金の丘」という意味がある「コート・ドール」県のボーヌ周辺のブドウ畑。

でもブルゴーニュで眺めるブドウ畑としては、私は南部のマコネと呼ばれる地域が好きです。コート・ドールのブドウ畑は、面積は狭いし、ブドウ栽培地域を縦断する高速道路も走っていて雰囲気が壊れます。畑の中に入って、ここでできるワインは・・・と思いを馳せるのでない限りは、景観としてはいまひとつ物足りなく感じてしまうのです。

2004年7月下旬、そのブルゴーニュ南部のブドウ畑がある地域を旅行したときにも、どこまでも続く広大なブドウ畑を見て嬉しくなり、必要もないのに何枚も写真をとりました。



ところがブドウの房をアップにしようとしたとき、ブドウの実が異常なのに気がつきました。左の写真がそれです。

その1週間近く前に、この地域ではピンポン玉のような大きさの雹が降って、マコネ地域のブドウ畑に被害を与えたというニュースがあったのを思い出しました。

その雹にやられてしまったブドウの房だったのです。葉の方も無残に痛めつけられています。


道ばたに駐車している車などの屋根はデコボコになってしまうような、こんな大きな雹がフランスでは降ることがあります。

私はパチンコの玉くらいの雹が降るのしか見たことがありませんが、その程度の大きさの雹でも降ってくると怖くなってしまうものです。そもそも夏なのに氷の玉が降ってくるのも不安。バラバラとけたたましい音がするのも不気味・・・。世の中の終わりのような気分になってしまいます。
旅行中には、当然ながら試飲のためにワイン醸造農家に寄る機会もあったので、雹が降ったときの話しも聞きました。

勢いよく降った雹で、あっと言う間に地面は覆われてしまったそうです。それが溶けるのに12時間もかかったとのこと。

私が見たブドウ畑の被害は、まだ中程度というものだったそうです。場所によっては、ブドウの葉や実が跡形もなくなってしまったようなところもあったのだそうです。この写真に写っているような房でも、ワインをつくるために収穫されることはないでしょうが。

昨年は猛暑のためにワインの生産量が減って収入が落ちたので、被害を受けたときのための保険をかけておくのを節約してしまったワイン醸造農家もあったとか。ブドウ畑が全滅してしまった農家などは深刻に悩んでいることでしょう。それでも農業は保護されている産業なので、商売が落ち込んだために倒産を余儀なくされる会社などとは異なって、何らかの援助の手が差し伸べられると思います。

それにしても最近のフランスのワイン業界は、国際的な競争からも脅威を受けているので窮地に追い込まれていると心配されています。農業の中では特別に収益性の高いブドウ栽培+ワイン醸造という部門に魅せられて、各地でブドウ畑の面積が広げられ過ぎてしまったという感じもあります。

消費者の立場から言えば、人気があるからというだけで値段が高くなりすぎてしまった銘柄のワインなどは、値段が下がってくれれば嬉しいと思ってしまいまうのですが・・・。
2004年7月

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