自宅での食事に招待する頻度は?

フランスでは食事に招待することが多い

 フランスでは頻繁に食事に招待して、招待されて、という機会がたくさんあります。人によっては、本当に年中誰かしらが来て食事していたる友人の家もあります。ふらりと立ち寄ると、食前酒が出て、それから「ついでに食べていらっしゃいよ」ということになるのもよくあることです。

 「何もないけれど」と言われながらも、結構な食事になるので、フランス人の冷蔵庫には色々入っているのだと感じます。

 そんな風にご馳走になったときは気楽にしていて良いのですが、あらたまって食事に招待されると、その次はお返しで食事に招待するのが常識になっています。招待されてばかりいて、自分の家には呼ばないと顰蹙をかうことになりかねません。

 間をおいてしまうと、自分が招待する番だったのかを忘れてしまう。それで、それほど親しくない人たちが集まった食事会では、できるだけ近い時期にお返しの招待をしてしまいます。何組かの友人が集まった席だと、そのメンバーが「今度は家で」とやるわけですから、立て続けに食事会に行くようになってしまいます。

 私の友人仲間が家に食事に呼ぶのか、あるいはフランス人は誰でも人を呼ぶのが好きなのか調べてみました。
自宅に食事に招待した割合
頻度 親戚の人 友人 職場の人
 週に1回 19% 15% 2%
 月に数回 27% 28% 月に1回以下:
18%
 月に1回 24% 29%
 余りない 22% 20%
 全くない 7% 8% 71%
189

 予想通りの数字でした。おもしろいのは、職場の人を呼ぶことが少ないことではないでしょうか? 親しくなった職場の人を呼ぶこともあるでしょうが、管理職レベルになると、ビジネスの接待で呼ぶケースも多いと思います。

日本人は家に呼んでくれないと驚く

 仕事の関係で時々日本に行くフランス人の友達が、「不思議だ」と言っていたことのひとつ。とても親しくなった日本人夫妻がいるのだけれど、日本に行ったときにはレストランに招待されて、自宅に呼んでもらったことがない。もちろん、その日本人がフランスに来たときには、彼らのパリのアパルトマンに招待して食事をご馳走しているのに・・・ということ。

 その日本人は東京に住んでいます。田舎では違うでしょうけれど、東京では自宅に招待するということが非常に少ない、と私も感じています。住宅事情も悪いということもあるでしょう。人を呼ばないと、たまに呼ぶのは大変に感じてしまうものです。

 日本人はフランス人のように気楽に家には呼ばないのだ、と教えてあげたら、ほっとした様子。家にも呼んでくれない人を「友だち」として扱っても良いものなのか?・・・、とふに落ちなかった気分が拭ききれたようでした。

 長いこと不思議に思っていたことのひとつに、日本の引越しの挨拶があります。
 「お近くにお越しの折は、是非お立ちよりください」。

 そう言われると、わざわざ新居を見に行ってはいけないのだろうか?・・・と思ってしまう。フランスの友人は、「新しい家を見に来てください」とストレートに挨拶状をよこします。行ってあげなかったら、むしろ失礼にあたるくらいなのです。

 何かの本に、「近くにお越しの折は・・・」という挨拶は中国語の表現から来ているのだ、と説明がありました。本当なのかは調べていませんが、中国では、わざわざ出かけて遊びに行ったとしても、「近くまで来たので立ち寄りました」と言うのだそうです。「わざわざ来た」と分からせると、相手の気持ちに負担をかけてしまうから。そう説明されると、この表現が納得できます。

 中国では、気楽に立ち寄れる雰囲気があるのではないかと思いました。日本でも田舎では、ふらりと他人の家に立ち寄れる感じがあります。東京では、前触れなしに行くというのは、「めったに」と言うより「全く」なかったように思います。

 フランスでは、気楽に友達の家に行きます。前触れなしに行っても、家の中が全くちらかっていないな、といつも感心します。例外として感じたのは、小さな子どもがいる家くらいだったように思います。スペースがあって、ゴチャゴチャにしないで済むからかも知れません。
作成: 2005年2月
数字で見るフランス人 目次
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