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甘えん坊だけど勇敢なボク

Romanée aux deux visages...


Romanée le Téméraire
甘えん坊のボクと、わが道を行くの兄

フランスに住んでいる人間たちを見ていると、性格も顔形も全く違う兄弟がたくさんいて、本当に同じ両親から生まれたのだろうかと疑ってしまうことがよくあります。外国の血などが入っているから、遺伝が複雑になるのでしょうか? まるで、ボクたちネコのように毛並みも違うのです。

ボクたち兄弟も、見た目や性格は全然違っています。親が全く違うのですから当然かも知れません。兄のポマールは、ボクより2週間くらい早く生まれたそうです。母親を早くから無くしたので、ポマールは独立心があるようです。気が向いたときだけ甘えん坊になります。気が向かないと、自分の好きなようにふるまっています。誰からも煩わされないで、自分の好きなようにしているのが好きなようです。

Pommard le Voluptueux
ボクの方は甘えん坊です。かなり大きくなっても、人間の耳たぶをオッパイのように吸っていました。

家の人たちが旅行に出るときには近所の人にボクたちの面倒を頼んでいくのですが、帰ってくるとボクはしばらくすねてみせます。ツンとして家の人たちを無視するとか・・・。でもポマールの方は、留守番をさせられても食べ物に不自由しないので、全然気にしていないようです。


兄のために戦ったボク

ポマールは平和主義者です。喧嘩なんか嫌いなので、よその猫を見るとすぐに尻尾を巻いて退散します。世の中が彼みたいな生き物だけだったら、平和な世界になると思います。

ボクは近所のイジワル猫と戦います。こんなこともありました。

ある日、ポマールが痛そうな顔をして帰宅したのです。見ると、尻尾の裏側に大きな噛まれた跡がありました。家の人たちは、キツネか何かの野獣に噛まれたのだろうと思ったようです。2つの歯型があったので。

でもボクは、すぐに「あいつが噛んだんだ!」と分かりました。数日前から、想像もできないくらいイジワルな野良猫が出没するようになっていたのです。

卑怯じゃないか、ポマールみたいにおとなしいネコをいじめるなんて! そいつと出会ってしまったポマールは、すぐにきびすを返して引き上げようとしたはずです。それなのに、後ろから尻尾を噛むなんて!!!・・・。

翌日、ボクは野良猫を待ち受けました。大きな猫です。ボクたちみたいに小さいときに注射されてしまった家猫が立ち向かうには難しすぎる相手です。

でもボクは戦いました。前足を噛まれましたが、ボクの方がもっと強く噛んでやりました。だから、そいつは、もうボクたちのテリトリーには姿を現さないだろうと確信しました。

「もう大丈夫だからね」と、家に帰ったボクはポマールに言いました。ポマールの尻尾はすごく腫れあがってきていました。ボクの方はそれほどでもないけれど、やはりビッコをひかなければならないくらい痛みました。寝室に向かうために階段を上るのが特に辛かったです。

家の人たちは、「猫は自然に怪我が治るものだ」と誰かに言われていたので、数日は何もしないで様子をみていました。ボクの方は直るだろうという感じがしましたが、ポマールの尻尾は膨れ上がるばかりです。

クリニックに行くのは大嫌いなのですが、とうとうボクたちは治療を受けに連れて行ってもらうことになりました。

お医者さんは、こんな風に噛まれた尻尾をほっておくと、尻尾が腐ってなくなってしまうのだと脅かしました!
ボクは番犬の代わりもしています

ボクはポマールを守るだけでなく、家に泥棒が来ないように番犬の役も果たしています。塀の上をパトロールすることなどは毎日の日課。時には、ガレージの屋根の上に登って、村の様子を偵察したりもします。家の屋根の方は高すぎるので登れません。

都市には犯罪が多いのですが、最近は治安の取り締まりがきびしくなったので、ボクたちが住んでいるような農村が狙われているのです。ひとり住いのお婆さんなんかは、銀行を信用しないでタンスなんかに現金を隠しているので、特にねらわれやすいのです。

田舎の人たちはノンキなので、鍵をかけなかったりする人さえいるのです。外出するときには玄関のところに鍵を隠しておく人も多いのですが、そんな誰でもするような隠し方ではすぐに見つかってしまいます。特にお城のような屋敷が狙われますが、ボクたちのような庶民の家でも油断はできません。


家の人たちがワインを買い付けてきて、車から出したケースを庭においたままにしているときなどは、ボクが見張りをしています。

ワインセラーに入れる前に盗まれたりしたら、家の中のものを物色されるよりも大変なことですから!

ワインが地下のセラーに入れられると、ボクは真っ先に空き箱になったケースに入って遊ぶというご褒美があります。

ワインが12本入るダンボール箱は、居心地も良いし、噛むと歯ごたえがあります。人間たちは、どうしてボトルばかり大事にするのか不思議です・・・。
次は、ボクが好きな食べ物をご紹介します 



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