メフィスト編集長 (Méphisto)より


モリーユという名のキノコ
Les Morilles

2004年5月中旬の編集日記

 ブルゴーニュでは、モリーユというキノコがたくさん取れるといって人間たちは騒いでいます。このキノコは、山がたくさんあるお隣の地方ではたくさん取れるそうですが、ここみたいな平地だとなかなか見つからない貴重品なのだそうです。

 牧場なんかでも見つかった!、道端で見つけた! などと言って喜んでいます。ご主人がジョギングをするたびにモリーユを見つけて持って帰って来る、と言う奥さんもいました。そんなにたくさん生えたのは、去年の夏が異常な暑さだったからでしょうか? 冬から春先にかけては例年より雨が少なかったので、本当ならキノコは余り生えないはずなので、みんな不思議がっています。

 なんてボクが色々知っているのは、家に来る人たちがみんなモリーユのことをしゃべっているからです。もっとも何処で見つけのかは、誰も口にしません! すごい秘密情報なので、人には教えないことになっているようです。

 数日前の朝、近所のおじさんが森でとったモリーユを見せに来ました。キノコを見つけた前日から、こんなにたくさん見つけたと自慢するために、知り合い全部に見せて歩いているそうです。腐ってしまうまでカゴに入れて持ち歩くのではないかと思いました。

 下の写真のカゴに入っているのが、「黄色いモリーユ」と地元の人が呼ぶ超大型のモリーユです。1個100グラムくらいあって、カゴに入っているキノコ全体で1キロあったそうです。

 アテナは、モリーユと同じ色合いをしているなんて言われて、記念撮影をされてしまいました。

 そう言われれば、茎が白いところまで似ていますね。アテナが今の時期に生まれたら、モリーユなんていう名前を付けられたのではないでしょうか?

 フィラエが書いたページの写真を覚えていらっしゃる方は、アテナの姿を見て「あれ?」と思われたかも知れません。

 実は、アテナはボクの姉です。姉と言っても一緒に生まれたんですが、なんとなくお姉ちゃんの雰囲気があるのです。フィラエは、どう見ても妹です。

 アテナは誰とでもすぐに友だちになってしまいます。ネコや人間を合わせてボーイフレンドが何人いるか、ボクは数えたことがありません。顔立ちが良いのでもてるのかも知れませんが、社交性があるので誰からも好かれるのだと思っています。

 本当はボクたち3ネコ兄弟でサイトを立ち上げようと思ったのですが、アテナはセクレタリーの仕事にはむいていない性格をしていたので問題外でした。ネズミを追いかけるのが大好きなお転婆娘なのです。フィラエは余り自信を持っていない恥ずかしがり屋なので、サイトのマスコット・ガールにしたら性格が変わるかと思って説得しました。可愛いなんていうお便りをもたったりするせいか、フィラエも最近はずいぶん明るい子になってきました。

 ところでモリーユを見せに来た近所のおじさんは、夕方になったらキノコを見せて回るのが終わったらしくて、おすそ分けを持ってまたやって来ました。

 家の人たちは、「実は、1つくらい残していっても良かったのに・・・と思っていたのだ」、などと言って喜んでいました。1つどころか、大きなのを4つもらったようです。

 おすそわけを持ってきたときには、彼の奥さんや友達も一緒でした。さっそく食前酒が出されました。注文があったのは、白ワイン、赤ワイン、ウイスキー、パスティス、ポルトーでした。みんなで同じものを飲めば簡単なのに・・・。ボクはお給仕係でなくて良かったと思いました。

 つまり彼らは食前酒の時間にやって来たのですが、これは意図的なことだったと思います。食前酒の時間にふらりと友達の家に遊びに行くというのは、田舎に住む人間の世界ではよくあることですから。ボクたちがよその家に行くときは、食事の時間をみはからって行きます。そこがネコと人間の大きな違いでしょうか?

 お客さんたちが帰ったときには夜になっていました。食前酒が長引くと、おつまみも色々出るので、ほとんど食事になってしまいます。それで家の人たちは夕食を軽く済ませました。翌日になると、モリーユを付け合せにするのは子羊が合うと言って、子羊肉をわざわざ買ってきました。

 キノコを見せてもらったときにはさんざん褒めていたくせに、料理するときになったら「黄色いのより、小型の黒いモリーユの方が香りが強くて美味しいのよね・・・」なんて言っています。それでも「おいしい!」なんて言いながら喜んで食べているんですから、人間って本当に食いしん坊です。

 ボクたちはキノコなんては匂いを嗅ぐ気もしないのですが、それを煮込んだ生クリーム・ソースの方はおいしくいただきました。

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