夏のイベント

夏になると思い出す...

夏になると、子どものころ、糊のきいたユカタを着て、鼻の頭におしろいを引いてもらって夏祭りに行ったのを思い出します。

お腹の底に響いてくる太鼓の音に引かれて神社の方向に向かいました。うるさいくらいに鳴いているセミの声…。縁日で売っている、どう見ても衛生的とは思えない食べ物…。ちゃちなベークライトの玩具…。取りすぎてしまうと処置に困ってしまう金魚すくい…。でも、それが魅力的でした。

日本の夏祭りを思い出してしまうのは、フランスにはそんな祭りがないからなのです。


フランスでも、夏には各地で祭りが行われます。でも日本のように昔から続いている、土着の宗教というか、土地の伝統というか、そんな素朴なお祭りがありません。

地方によっては民族衣装を着た人たちが登場する祭りもあるのですが、かなり地方が限られます。私の経験では、祭りで地元の人たちが日本のように民族衣装を着ているのが見られたのは、プロヴァンス、ブルターニュ、アルザスの地方だけでした。さもなければ、民族衣装を着ているのはイベントのアトラクションに関わる人です。

フランスの夏ならではイベント: 音と光の祭典

フランスの夏らしいイベントは「音と光の祭典(son et lumière)」かも知れません。たいていは歴史的建造物を舞台にして夜に行われ、その土地の歴史を絵巻物のようにして見せる野外劇です。花火や音楽がつきもの。フランス語のナレーションが分からなくても楽しめるイベントです。

ブルゴーニュ地方ではサン・ファルジョー(château de Saint-Fargeau)というお城の祭典が有名です。ボランティア600人が出演するだけでなく、馬やポニー合計100頭など、動物もたくさん登場します。大きなお城と湖をバックにして、まさに壮観!

ブルゴーニュに住んでいるのでサン・ファルジョーを持ち上げてしまいますが、この夏の光と音の祭典は、フランスでは2番目の規模にランクされています。ナンバー1となっているのは、プイ・ドゥ・フー(Puy du Fou)の祭典です。

でも、両方を見比べた私は、サン・ファルジョーの方が好きだと思ってしまいます。規模は確かにプイ・ドュ・フーの方が盛大だし、プロだと思われる人もいて立派なイベントになっているのですが、余りにも大きすぎるので遠くからでは臨場感に欠けるというか、ボランティアの人たちが一生懸命やっているという感動も伝わってきにくいのです。

盛大な花火がお見事という点では、ヴェルサイユ宮殿のものも好きです。ただし、絵巻物を描くという点ではお粗末です。都市のイベントでは地元住人のボランティアが何百人も出て動き回るというようなシーンを作るのはありえないらしくて、広い面積を人が埋めるということができません。

音と光の祭典は各地で行われています。フランスを夏に旅行していると、どの地方でもこのイベントにぶつかるでしょう。

音の光の祭典だけではなく、夏には各地で色々なイベントが催されます。
作成:2005年9月 / 更新:2009年8月


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