タンポポ
Pissenlits


フランスの農家が休閑地の補助金をもらうためには、休閑地とする場所はいつも同じ所ではなく輪転し、生えてくる雑草も刈って手入れしなければなりません。つまり、いつでも農地として使える状態にするわけです。ですから、ちょっと見ただけでは牧場との差がなくて、何処に休閑地があるのか分かりません。

ところが春には、ここが休閑地だったかと分かるので面白いと思います。畑には穀物の芽が伸びてきているだけなのですが、休閑地にはタンポポの花で埋まっていたりするので、遠くからでも見えるのです。

上に入れた写真をご覧ください。道路の左手は花が咲き始めた菜の花畑です。その向こうに濃い黄色に染まっているのがタンポポで埋まった休閑地。柵がないので牧場ではないのだと分かります。

タンポポの新芽はサラダにして食べられます。毎年タンポポの花で埋まった土地を見ると、冬にはここに来ればタンポポがいくらでも取れたのだと思ってしまいます。でも冬の間だと、どこにタンポポが群生しているのか分からなくて、無駄に寒空の下で凍えながらタンポポ探しをしてしまったりするのです。

もっともタンポポの花が胞子になってしまうと、休閑地はいかにも荒野という感じの荒れ果てた光景になってしまいます。でも、その時期が過ぎれば、また牧場と見分けがつかない風景になります。
タンポポの花

タンポポ
Pissenlits officinal
(Taraxacum officinale)
ありふれた花ですが、よく見るときれいだと思います。

日本の食用菊を思わせます。
タンポポの花でつくるゼリージャムジュレ

友達にタンポポの葉が食べられるのだから、花も食べられるのではないかと聞いてみました。すると彼女は、タンポポでジュレをつくって朝食のときに食べるのだとレシピを教えてくれました。

レシピを教えてくれた友人は、「タンポポのジャムは蜂蜜と間違えるほど美味しいのだ」と言っていました。そうは言われても、タンポポのジャムが美味しいとは信じ難くて、実は作っていませんでした。ところが、その後に利用したB&B民宿の朝食で出てきたので味わうことができました。

民宿で出てきたジャムの瓶には「Cramaillotte」と書いてありました。何も書いてなかったら蜂蜜だと思って食べてしまったと思います。クラマイヨットなどとは耳にしたこともない単語なので、奥様に聞いてみたら、自家製のタンポポジャムで、そういう名で呼ぶのだと教えてくれました。

本当に、蜂蜜と思ってしまう美味しさなのでした。しかも、大量生産されているハチミツなどよりは遥かに美味しいです!
Cramaillotte
タンポポのゼリージャム (Gelée de pissenlits)
レシピ 1
材料:
タンポポの花 180個 (緑色の部分は取り除き、太陽の下で数時間干したもの)
水 75 cl
オレンジ 1個
レモン 1個
グラニュー糖 500 g

オレンジとレモンを小さく切り、タンポポと一緒に鍋に入れて水を加え、40分間静かに煮る。
こし器でこして、液体だけ残す。
②に砂糖を加え、かき混ぜながら固まるまで約1時間煮る。

* ゼリーが固まったかどうかは、冷たい皿の上に乗せたときに形が残ることで確かめる。ジャムのようにパンにつけるには固まっていない程度が良い。


レシピ 2   こちらは「タンポポの蜂蜜」と呼んでいます

材料:
タンポポの花 500ml
水 500ml
レモン 1個
グラニュー糖 500 g
バニラビーンズ 1本

タンポポの花を洗ってから大まかに切る。レモンは輪切りにする。鍋に、水 500ml、タンポポの花、レモンを入れ、沸騰したら鍋に蓋をして火を止め、20分ほど放置して冷ます。
こし器でこして、液体だけ残す。必要であれば、水 500mlを加える。
②にバニラビーンズの種と砂糖を加え、かき混ぜながら弱火で約1時間煮る。
出来上がったジュレを瓶に入れ、日があたらず乾燥した場所で保管する。


レシピ 3
材料:
タンポポの花 500 g (花びらの部分のみで、花冠、茎、葉は除く)
水 1 リットル
オレンジないしレモン(無農薬のものが望ましい) 1個
グラニュー糖 1 Kg
寒天 4 g

タンポポの花びらを洗う。水に砂糖を入れてシロップを作る。オレンジないしレモンは皮をむかずに小さく切る。
①を鍋に入れ、強火で40分間煮る。
こし器でこして、液体だけ残す。10分煮てから寒天を入れ、さらに10分煮る。
寒天を使わない場合は、さらに弱火で60分間煮る(焦げないように注意!)。
瓶に入れて保管する。
ご注意: 食用にできるのはフランスにある野生の西洋タンポポの品種ですので、作ってみようと思われた方はご確認くださいね!

内部リンク: サラダにする野草: タンポポの葉
作成: 2004年5月   最終更新: 2013年1月

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