メフィスト編集長 (Méphisto)の編集日記

野良猫たちはスローフード?
Slowfood chez les chats errants


ムルソーという食客

 ボクの家にはムルソーというネコが食事の時間に姿を現します。

 こんな風な顔をして、「お腹がすいた〜」とやります。
 こいつを見るたびに、なんだか変なやつだ、と思ってしまいます。

 やたらに胴体が短い。

 右の写真がボクです。かなり長さが違うでしょう?

 ボクの方が普通だと思います。

 ムルソーは、生まれてからすぐに、頭とお尻を抑えられて圧縮されたのではないでしょうか?・・・

 胴は寸詰まりだけれど、ムルソーはよく食べます。ボクたちが手をつけないワインの煮込みとか、骨がいっぱいの魚なんかも平らげてしまいます。

スローフードを実践するのは野良猫?!

 今日もまたムルソーが食事にやって来たので、ボクは隠れました。

 すると、「ムルソーは偉い! あっぱれだ!」と褒められている声が聞こえてきたのです。

 見に行くと、もうムルソーはいなくなっていて、お皿が残っていました。
 皿には猫のドライフードが入っています。あれ? 珍しく食べ残したんだ・・・、と思いました。

 ボクの家は、今日は食べ残しがなかったからドライフードを出したのだそうです。

 そしたら、匂いを嗅いだムルソー。さっとお尻を向けて立ち去ったのだそうです。それで「あっぱれ!」なんだって。ドライフードなんかは食べたくない、と拒否したので褒められていたのでした。

 なんでも食べるのだと思っていたら、インスタント食品には鼻も向けないネコだったのでした。

 考えてみると、ホームレスの猫が食べているのは、人間たちの食べ残し。それから新鮮なネズミの生肉。ドライフードなんか食べつけていないんですよね。

 獣医さんは栄養のバランスの良いドライフードを売っていて、ボクも健康に良いのかなと思って食べていました。でも、これって、人工的な食べ物には違いありませんよね。言ってみればファーストフード。

 ボクは文明に犯されていたのかも知れない・・・。

 本当のグルメだったら、ファーストフードなんか食べるべきものではないのだろうな・・・。そう反省したボクでした。
2005年6月

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