メフィスト編集長 (Méphisto)の編集日記

最近の泥棒は田舎を狙う?!
Méfiez-vous !

 都会はスリや泥棒が多いので気をつけなければいけないけれど、田舎は大丈夫・・・。そうみんな思っています。

 ところが最近は、都会は警戒が厳しくなったので、泥棒たちは無防備な田舎にやって来るらしい。タンス貯金を盗まれたと、騒いでいるお婆さんもいました。本当はタンス貯金なんかなかったはずだ、なんて言う近所の人もいましたが。

 そんな呑気な話しを笑っていたボクの家にも、ついに泥棒が入ってしまいました!

 ボクの家では、被害にあった物件の証拠写真があるのでお見せします。
 骨付きの牛肉です。犯罪者が盗んだのは、ここから1センチか2センチ小さくなった状態のものだったとご想像ください。
バーベキュー

 先日のことでした。

 ボクの家ではバーベキューをしました。

 肉屋さんが教えてくれた方法でうまく焼けた! とみんなで感心していました。中は赤くて、外はこんがり焼けたからです。

 こういう、厚さが5センチ以上あるような分厚い肉を焼くのは難しいのだそうです。中は赤いのが良いのですが、それでも火が通って暖かくなっていないといけない。中まで火が通るようにと焼いていると、外側が真っ黒になってしまう。

 それで、肉屋さんが教えた方法というのは、こういうものだったのだそうです。

 肉をアルミフォイルに包んで、オーブンの中火で暖める程度に焼く。それから、バーベキューにする。

 人間たちというのは、つまらないことにこだわるものだと思って、ボクはおしゃべりを聞いていました。ボクは、肉が冷たくても構わないのですから!

 うまく焼けた牛肉は、台所でボクも少しお相伴しました。

 肉の塊はやたらに大きかったので、集まった人たちが食べ切れませんでした。ボクはもっと食べられたのですが、すすめられませんでした。

 残った肉はカラシをきかせたマヨネーズで食べるとおいしいのだ、などと話しているのが聞こえました。

 そして翌日、ボクにお腹がはちきれるほど食べさせなかったことを、家の人たちは後悔する結果となったのです!
跡形もなく消えた牛肉

 翌日の台所では、朝から張り切ってマヨネーズづくりが行われました。といっても、卵が冷蔵庫から出されてテーブルの上に置かれただけでした。

 卵がどうなるのか時々見ていたのですが、何事もおこりませんでした。

 夕方になると、本格的なマヨネーズづくりが行われたようです。

 そして、これまた冷たすぎないようにと冷蔵庫から出してテーブルの上に置いた肉はなくなって、マヨネーズだけが残ったのだそうです。

 ボクは散歩から帰って、それを知りました。

 本当に肉は跡形もなく消えていました。しかたなく、ボクはお皿をなめました。それではお腹がいっぱいにならないので、缶詰フードも食べました。みじめ・・・。

 本当は、ボクが食べたのではないかと疑われたのかも知れません。でも、ボクたち兄弟なら、その場で食べて、骨は残すはずだ、というのが無罪だということの根拠になったようです。

 ウチにやって来るホームレス猫の、ムルソーか、まだ名前はない黒猫の仕業だろう、という推測がなされたようです。でもムルソーは慎み深いと思われているので、黒猫が疑われたようです。

 でも、あんなに大きな肉を口にくわえて走れるものなのかな?・・・ 骨つきだから重いだろうし・・・。野良猫でいると筋肉がたくましいのだろうか?・・・

 ボクはがっかりしました。あの血がしたたる肉の塊が消えてしまったと言われたのですから!

 もう少し早く帰ってくれば良かった・・・。

 そもそも、肉がテーブルの上にあるなんて期待していないのですよね、ボクは。あの黒猫のヤツ、どうして、うまいタイミングに現れたのだろう?・・・ 不思議・・・。確率からいけば、ボクか、姉のアテナが見つける方が高かったのに・・・。

 食卓にはマヨネーズで交ぜたサラダがありました。「もうサラダはうんざりしてきた!」などと言いながら食べていました。今の時期、どこの家でも家庭菜園でサラダが育ちすぎてきているので、「サラダいらない?」というのが挨拶代わりになっているみたいなのです。

でてきたヒゲ

 そんな夜。ベッドの上で、ボクのヒゲが見つかりました。付け根の部分が黒っぽくなっているので、ボクのヒゲに間違いありません。

 猫から自然に落ちたヒゲはお守りになるのだそうです。自然に抜けたものでないとダメですから、念のため!

 というわけで、泥棒に入られたために、ともすれば陰鬱になってしまうような夜、ボクのヒゲが、せめてもの幸運を家にもたらしました。ボクって、どうしてこんなに優しいんだろう?・・・



ここのところ、煙があがっている家がたくさんあります。
どうしてだろう? と思う方は、
「ブルゴーニュだより」の記事: 夏の料理: バーベキュー
をご覧ください。
追記:

 バーベキューの残りを食べてしまった犯猫だと思われた黒猫は、この事件のおかげで名前をつけてもらってしまいました。

 「ピノ」という名前です。

 ブルゴーニュワインに詳しい方だったら、なぜこういう名前になったのかご想像できるでしょう。

 ブルゴーニュの赤ワインになるブドウはピノ・ノワール(pinot noir)という品種です。ノワールというのは「黒」の意味。黒猫だからピノなんだそうです。

 なんだか創造性に欠ける命名だけど、可愛がって付けたわけではないから、そんなもんなんだとボクは思いました。
作成: 2005年7月 / 更新: 2005年10月
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