フランス革命期に作られた共和暦

共和暦のカレンダー
 共和暦は、共和国誕生の日である1792年の9月22日から始まっています。なぜ中途半端な9月22日から1年が始まるのかと思われませんか? 9月22日は秋分。つまり、昼と夜の時間が同じという日です。まさに平等をモットーとしたフランス革命にピッタリというわけなのです。

 1年は12カ月からなり、1カ月はそれぞれ30日。1週間を10日として、各月は3週間で構成されています。1週間の最後の日(10目)をデカディと呼び、安息日である日曜日に代わる休日としました。休みが少なくなってしまったわけです。それには反対がでたらしく、1802年には1週間を7日に戻されました。

こうなると、30日(一カ月)×12カ月=360日となってしまいます。そこで1年を365日とするために、残った5日間(9月17日〜9月21日)を「サン・キュロットの日」として祝日にしました。閏年は祝日が6日間となります。

 革命で採用したメートル法などの影響もあって、1日を10時間、1時間を100分、1分を100秒にすることも検討されましたが、実行されなかったそうです。数字に弱い私などは、こうしてくれたら助かったのに、と思いますが…。

 共和暦は1806年1月1日まで使われましたが、ナポレオンによってグレゴリー暦に戻されます。

共和暦に採用されたの各月の名前

季節 月名 イメージ 対応する月日
vendémiaire (ヴァンデミエール) 葡萄収穫 (vendanges) 9月22日〜10月21日
brumaire (ブリュメール) 霧 (brumes) 10月22日〜11月20日
frimaire (フリメール) 白霜 (frimas) 11月21日〜12月20日
nivôse (ニヴォーズ) 雪 (neige) 12月21日〜1月19日
pluviôse (プルヴィオーズ) 雨 (pluie) 1月20日〜2月18日
ventôse (ヴァントーズ) 風 (vent) 2月19日〜3月20日
germinal (ジェルミナル) 萌芽 (germination des plantes) 3月21日〜4月19日
floréal (フロレアル) 開花  (éclosion des fleurs) 4月20日〜5月19日
prairial (プレリアル) 牧草 (épanouissement des prairies) 5月20日〜6月18日
messidor (メジドール) 収穫 (moissons) 6月19日〜7月18日
thermidor (テルミドール) 暑さ (chaleur) 7月19日〜8月17日
fructidor (フルクティドール) 果実 (fruits) 8月18日〜9月16日

 共和暦の各月の名前は季節を捕らえた言葉をもじって作ったもので、俳句の季語のように詩的だと思います。考えだした人たちの文学的な才能さえ感じさせられます。エコロジー的でもあります。

 フランスでは毎日が誰かの聖人の祭日になっていて、それがカレンダーにも書き込まれます。革命はキリスト教を目の仇にしましたから、カレンダーには聖人の名でない何かを書き込まなければなりません。

 月の名前には成功したのに、カレンダーに書き込まれた聖人の祭日の置き換えの方は、信じられないくらい凡庸な命名になりました!






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