クリスマスリースと言うと、玄関のドアにかけるものをイメージされないでしょうか?
フランス語で「couronne de l'Avent(待降節の冠)」と呼ばれるクリスマスリースは、テーブルに置いてローソクを立てるという形が伝統的な形のようです。
Avent (アドベント、待降節、降臨節)
イエス・キリストの誕生を待つ期間のこと。
Avantはラテン語のadventusから来ており、到来、到着を意味します。
11月30日に最も近い日曜日(11月27日 - 12月3日の間の日曜日)からクリスマスイブまでの約4週間。
アドベントカレンダーというものもあります |
クリスマスリースを飾るもの
クリスマスリースというものが初めて作れれたのはドイツかペルシャのようです。16世紀、ハンブルグの孤児院でHeinrich Wichern牧師がクリスマスリースを考え出したと記録に残っているそうです。
伝統的なクリスマスリースは、モミの木の枝、月桂樹、ヒイラギ、松ぼっくり、ヤドリギ、カラフルなリボンから作られています。
冠は古代には太陽の象徴でしたが、後にキリストのシンボルになりました。クリスマスにはつき物のイラギは、十字架にかけられるキリストが頭に被せられたイバラの冠を象徴しています。
伝統的なフランスのクリスマスリースにはロウソクを立てる
フランスのクリスマスリース「待降節の冠」は、天井から吊るすか、家具の上に置くか、テーブルの中央に置くというのが伝統的な形だそうです。
クリスマスシーズンに行ったレストラン (ストラスブール市)
天井に大きなクリスマスリースが吊るされていました。大きな赤いロウソクが4本ついています。 |
ドアに吊るさなければロウソクを立てることができます。蝋燭は4本立てるのが正式。日曜日ごとに1本ずつ火を灯してクリスマスを迎えるというわけです。
正式には、こういう風にロウソクの火を灯すのだとか。一番初めの日曜日に1本のロウソクに火をつける。しばらくしたら火は消す。次の日曜日には、一度燃やしたロウソクと、2本目のロウソクにも火を付ける。そういう風にして、クリスマスには4本とも火を灯すということになります。
クリスマスリースに立てるロウソクの色は、フランスの伝統的には赤。光と火を象徴する色だからです。
ところがヨーロッパの国々どこでもロウソクは赤というわけではなく、スウェーデンでは純潔を現わす白、オーストリアでは贖罪(しょくざい)を現わす紫色なのだそうです。
クリスマスマーケットで売られていたリース。ロウソクには赤、紫、白がありました。 |
日本のクリスマスリースはアメリカ式?
玄関のドアの外側にとりつけたリースは、「couronne de bienvenue(ウエルカム冠)」とも呼ばれるようです。ドアに下げるというのはアングロサクソンの習慣。そいうものを総称して、フランス語でも正にクリスマスリース「couronnes
de Noël (クリスマスの冠)」と呼ばれます。
日本に伝わっているのは、こちらの方が主流ではないでしょうか?
クリスマスリースは日本でもよく知られているようです。色々なタイプが市場に出ていました。
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【追記】
メッセージをいただいて、このクリスマスリースを日本では「アドベントクランツ」あるいは「クリスマスクランツ」と呼ばれていると知りました。
Wikipediaでフランスの呼び名である「Couronne de l'Avent」からドイツ語のページに移ってみると「Adventskranz」。外国のものを日本で呼ぶときには英語で表記されることが多いので、なぜ「Advent wreath」ではないのかと不思議にも思ってしまうのですが、やはりクリスマスの演出ではドイツが際立っているということでしょうか? 私がフランスでクリスマスの雰囲気を満喫できたのも、ドイツの影響が強いアルザス地方でした。
クリスマスリースはいつ飾るのか?
クレッシュについて書いたページでご紹介したように、クレッシュという飾りはクリスマスの4週間前に飾って、聖母お清めの祝日(2月2日)まで飾るのが正式でした。
クリスマスリースの方も飾り始める時期は同じ。ただし、いつしまうかというのはないそうです。それでも、やはりクレッシュと同じように、2月2日まで飾っておくというのが一般的のようです。
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