フランス語になった日本語
Lexique japonais en France


 フランスで日本語が気になった理由

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フランス語となった外来語としては、英語、イタリア語、フランク語、アラビア語が多いのですが、日本語もかなり入っています。

日本語を知っていると挨拶されて・・・

初対面のフランス人の中には、「日本語が少し話せる」などと言う人があります。何を知っているのか聞くと、こう言うのです。

「ヤメ」

発音は尻下がり。なんとなく日本語らしくはありますが、ピンときません。

「ヤメ? 雨の間違いではないの?」

日本語らしく聞こえるけれど、何だか分からない。すると、「イッポン」というのも知っていると言います。「ニッポン」の間違いかと思いました。

でも、なんのことはない、柔道を習っている人なのでした。始めから道場で覚えた日本語だと言ってくれればすぐに分かったのに!

柔道とか合気道は、フランスではずいぶん盛んだと感じます。こうした日本の国技の道場というか、クラブの看板が目立つからです。

日本の国技は、フランスでも日本語が使われるようです。テレビで相撲の中継を見ていたら、相撲の技はみな日本語のようでした。「秋場所」などという言葉まで使っています。よほど相撲が分かっている人でないと、何が何だか分からないのではないでしょうか。


最近は日本のアニメが大変な人気なので、アニメファンの子どもたちから日本語で話しかけられることもあります。

会ったばかりなのに「サヨナラ」などと言う人もいます。サヨナラというのには、フランス語の「オールヴォワール(Au revoir)」のように「また会いましょう」という意味がないから、よけいに嬉しくは感じません!

「サヨナラ」を知っている人はいるのに、なぜか会ったときの挨拶というのは広まっていないようです。「コンニチワ」と言うのだと教えると、妙に喜んでしまう人がいます。

コンとはフランス語では「バカ」のこと。会った早々から、相手を馬鹿呼ばわりできるのは良い、などと悦にいっているのです! 言われてみると、なるほど日本語で「こんにちわ」というときには、「コン」に力が入っていると気がつきました。


神風の後に津波が来た!

2001年にアメリカで同時多発テロ事件があってからしばらくの間は、ニュースで「カミカーズ」という日本語を聞かない日はないくらい連発されていました。

カミカーズ (kamikaze)とは「神風」をフランス式に発音したもの。仏語辞典を引くと「神の風」を意味するという説明があるのですが、普通の人はそんなことは知らず、戦時中の神風特攻隊と結びつけます。

かなり教養のあるフランス人に、「神風」というのは元寇のときに台風が来て日本が救われたことに由来しているのだと教えて感心されたことがあったので、この言葉は戦時中にフランスに入ったのに間違いないと思いました。

9.11事件がおこったときのニュースでは、まっさきに、「50年以上も前に、すでに日本が考え出した作戦だ」とアナウンサーが言っていたのを思い出します。

このようなテロはattentat suicide(自殺テロ) とも言われるのですが、カミカーズの方がぴったりしているようです。

それから2年たって、ようやく「カミカーズ」を耳にすることが少なくなったと思ったら、2004年末に多くの犠牲者を出したインド洋の津波。カミカーズに代わって、今度は「ツナミ」という言葉がニュースで繰り返されています。

津波tsunami(ツナミ)としてフランス語になっていることを知りました。英語でもそう言うそうですから、世界中で使われている日本語のようです。ツナミの代わりに raz de marée(高潮)というフランス語も使われるのですが、これは地震特有の現象ではなので、やはり「ツナミ」の方が正確な表現なのです。

フランスの学校では、地理の時間はツナミという言葉を使ってこの現象が教えられるそうです。でも今度のことで、学校の勉強をそれほどしなかった人にも知れ渡る日本語となったことでしょう。

ツナミの方は日本人として引け目を感じなるものではないのですが、ここ数年に起こった前代未見の被害を及ぼした出来事を報じるニュースで、日本語が聞こえてくるのは楽しいものではありません・・・。


もっと明るい日本語がフランス語になっているはずなので、辞書で調べてみると、60余りの日本語が見つかりました。次のページでそれを紹介します。

作成: 2005年1月



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