野生アスパラガス
asperge sauvage(アスペルジュ・ソヴァージュ) |
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野生のアスパラガスは、日本でも「アスパラ・ソバージュ」として少しは流通しているようです。
最近になって、野生のアスパラガスには2種類あることを知りました。
森のアスパラガス
5月、フランスの森には食用となる「野生アスパラガス(asperge sauvage)」と呼ばれる草が伸びます。「森のアスパラガス(asperge des bois)」とも呼ばれています。
穂先を茹でて食べます。茎は普通のアスパラガスよりもずっと細くて、ウドンくらいの太さです。
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asperge sauvage
パリ郊外にある観光スポットの敷地に生えていた野生アスパラガス。
誰も取る人がいないらしく、一面に生えていました。
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自宅の庭に生えていた野生のアスパラガス |
アスパラガスと呼びますが、
稲の穂を思わせるものが
茎についているだけです。 |
農村の人たちは探しに行きますが、キノコ探しのようには熱心にはしません。味はほとんどなく、コシもないので、普通に栽培されているアスパラガスとは全く違います。春に見つけられる山菜といっても、日本人がゼンマイなどの山菜を食べるような楽しさはないのです。
それでも都会の人には珍しいので、高級レストランなどでは料理の飾りに使っていることがあります。さっと茹でると美しいグリーンがでて、とてもきれいです。
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ブルゴーニュ地方にあるディジョンの町の朝市で売られていた森のアスパラガス。
写真は2004年に撮影。一束1.5ユーロ(250円くらい)と表示されています。
2006年の6月初旬、同じ朝市で売られていた野生のアスパラガスは、1束5ユーロになっていました。
物価の値上がりによるものか、収穫量が少ないので高くなっていたのか?...
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森のアスパラガスの花
アスパラガスを食べるのは花が咲く前の状態のときですが、その時期を過ぎると穂は開き、右のような白い花が咲きます。
とても地味な花です。この状態を見たら、ただの雑草だと思ってしまうでしょう。 |
森のアスパラガスはアレルギーに注意?!
野生アスパラガスの存在を教えてもらったときは嬉しくて、たくさん収穫しました。ところが、あるとき、それを食べてから庭で昼寝していたら、喉が痛くて目が覚めました。そのうち舌が喉をふさぐくらい腫れてきて、話しても言葉にならないし、息もできないくらいになりました。
昼寝していたときに虫が口の中に入ってしまったのか、野生アスパラガスのアレルギーなのか分かりません。クリニックに駆けつけて注射をしてもらいました。それでも医師が、大きな病院に行った方が良いと言うので市立病院に行きました。
野生アスパラガスでアレルギーになる人は見たことがない、と言われました。
翌日まで様子をみて、症状が良くならなかったら本格的なアレルギー検査をしようということになりました。注射をうってもらってから症状はおさまってきていましたが、夜中に呼吸困難になると危ないというので、着のみ着のままで病院で一晩明かすことになりました。
翌朝になると、何ともなくなったので退院しました。アレルギー検査はしていません。
その後あるグルメ・レストランで食事したとき、メイン料理の付け合せに野生アスパラガスが2、3本飾られていました。1本だけ食べてみましたが、食後しばらくすると喉がチクチクしてきました。やはり私は、野生アスパラガスのアレルギーなのだと思います。
山菜採りは楽しいので、野生アスパラガスが食べられないのは残念です...。竹の子のようにお米のとぎ汁で湯がくと良いのかも知れませんが、怖いので実験していません。
普通のアスパラガス
フランスで普通に食べるアスパラガスは、左の写真のように白いものの方です。
緑のアスパラガスも売られていますが、圧倒的に少ないです。
普通のアスパラガスについては「アスパラガスの季節」で書きました。
フランス産の白いアスパラガスは、
日本にも輸出されていました。 ⇒
野生アスパラは日本にも輸出されていた
日本の高級フレンチ・レストランがフランスから野生のアスパラガスを輸入していると聞いて驚いたことがありました。
調べてみると、楽天市場でも売っていました。「アスパラ・ソバージュ」と呼ぶのが一般的のようです。ソバージュはフランス語で「野生の」という意味があります。
「オクラのような」とも書いてありました。森に生えるアスパラガスは、そう表現するのが相応しいかも知れないです。フレッシュのアスパラガスには「超高級食材」と書いてあります。
野生のアスパラが生えているところはそう多くはないですが、あるときにはかなりの面積で広がっています。フランス人にはキノコのように人気はないので、採りに行く人がほとんどいないからでしょう。
日本で野生のアスパラガスが貴重品なら、ダンボールひと箱も送って差し上げたいくらいです。ただし衛生基準をクリアーするのが大変でしょうけれど。 |
南仏プロヴァンスに生える野生のアスパラガス
プロヴァンス地方に住む人と、野生のアスパラガスについて話しをしたとき、話しが合わないので奇妙に思いました。
私たち中部フランスに住む者にとって、野生のアスパラガス、つまり森のアスパラガスは、見た目はきれいなのですが、栽培されている一般的なアスパラガスとは味は似ても似つかないものです。なぜアスパラガスと呼ぶのだろうか? と思ってしまうほど・・・。
ところが、プロヴァンスで見つける野生のアスパラガスは、栽培されているアスパラそのものなのだと言います。しかも、アスパラの香りが濃縮しているように強くて、オムレツに少し入れるだけでも素晴らしく美味しいとのこと。
それに、森に生えているわけではなくて、崖っぷち、野生のローズマリーが生えているような乾燥した土地に生えているそうです。
そして、葉も栽培されているアスパラガスのような形をしている。葉はチクチクしているので触ると痛いし、一面に生えているわけではないので、探すのは大変なのだと言います。
春先に収穫して食べるところは同じですが、森のアスパラガスとは全く違うようです!
地中海沿岸に生える野生のアスパラガスは、学名はasparagus acutifolius 、英語ではhardy asparagusのようです。
フランス語でこの種類を特定するには、森のアスパラガス(asperge des bois)ではなくて、asperge sauvage à
feuilles aiguës と呼ぶようです。つまり、葉が尖っているのが特徴というわけです。
次のサイトのページで生えている様子がよく見えます:
Cueillette des asperges sauvages
�@Asperge sauvage
どうやら、こちらの野生アスパラが今日のアスパラの祖先のようです。フランスではいつからアスパラガスを食べるようになったのかを、「アスパラガスの季節 (2) 歴史」でご紹介しました。
幻の地中海のアスパラが日本でも売られていた!
上にリンクを入れた「野生のアスパラを楽天市場で検索する」は、シーズンが終わったらリンクが切れてしまうかも知れないのですが、見ている今(2010年4月)にはこの検索結果の中にプロヴァンスの友人が話していた野生のアスパラガスが一つだけ入っていました! |
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リンクが残っていましたら、お店の写真がきれいに姿を見せているのでご覧ください。
左のアスパラガスが、香りが非常に強いという地中海沿岸に生えるアスパラガスですね。こちらには、普通に栽培されているアスパラガスのように節があります。まさにグリーンアスパラの原型に見えます。
このイタリアの野生のアスパラガスを買われた方のコメントを見ると、まさにプロヴァンスの友人が言っていたことと同じです!
それにしても、日本では何でも手に入るのですね。フランスではどこで地中海沿岸の野生アスパラが手に入るか分かりません。いつか食べてみたいと思っていたのですが、シーズンにプロヴァンスに行っても売っているのかどうかも知りません...。
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更新:2011年3月 |
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