投書より

フランスで一番幸せなネコ一族 (コルシカ島)
Découverte du Paradis des chats en Corse

 ネコ王国の生活  2/2
ネコ王国の王様

 紹介されたのは、威厳のある、哲学者のような顔をなさった王様でした。

 写真をとられるのは不快そうでしたが、そんなつまらないことで腹を立てて見せたりしないところも「さすが!」と感心してしまいました。 
 それでも王様が、ジャーナリストの訪問を迷惑に思っていらっしゃるのは明らかでした。

 お名前を聞いたら、「そんなものはない」という簡単な答え。どのくらいの数のネコが王国に住んでいるのかも聞いてみたのですが、返事はなし。

 「国民の手足を数えたら、80本か120本もあると思うのですが、食糧は足りていますか?」と切り出しても、返事はなし・・・。


ネコたちの住まい

 ネコたちは教会には入れないらしいので、これだけのネコが食べられるネズミが捕まるだろうかと心配しました。

 山には鳥がたくさんいるでしょうが、私の経験上、お腹いっぱいにするために飛んでいる鳥を1日に何羽も捕まえるのは至極の技です。

 王国の領土から海は見えますが、そこまで一族で釣りに行ったら、まる1日はかかってしまうでしょう。

 どうやって食物を調達しているのか不思議です・・・。

(イメージ写真)

 でも散歩しているうちに、ネコ王国のシステムが分かってきました。

 ネコたちには、ちゃんと住まいと食べ物が保証されていたのです。下の写真をご覧ください。
 ネコたちの住まいを近づいて見るためには、写真の上にマウスをおいてください。

 柵の右手に出入り口があります。黒猫(私を案内した黒猫君ではありません)がいるのが見えるでしょうか?

 住み家があると見つけたのは、岩を利用してつくられた穴蔵を見つけたからでした。そこから、ネコたちが出入りしていたのです。そして王様は、その前に構えて、一族を守っていらしたのでした。

 小屋の上の赤いものは、雨が入らないようにするビニールシート。南国といっても朝晩は冷えるので、暖かくするための配慮かも知れません。小屋の入り口には、水が入ったペットボトルが何本かと、大きな鍋が置いてありました。

 少し離れたところには、木でつくった小さな猫の住居が幾つかありました。ネコたちは、思い思いに好きな住居を選んで住んでいるようです。

 良く見れば、ネコたちはみんな首輪をしています。よそ者が来て連れて帰らないようにしているのでしょう。修道僧の伝統を守る近くの村に住む人(人たちかも知れません)が、この景勝地をネコの王国にしたのだと分かりました。

 こんな恵まれたネコたちは、広いフランスの何処を探してもいないと思います。コルシカ島は、冬の寒さも厳しくないし、毎日のように晴天。それに、プロヴァンスのようにミストラルが吹き荒れるわけでもありません。自由な生活をするには、これほど恵まれた環境はないのです。

 いいな〜、こんな美しい所に住めて・・・。しかも食事の心配もしなくて良いなんて・・・。仲間にして欲しいな〜、と青い海を眺めてたたずんでしまいました。でも家族がある私は、ネコの王国に別れを告げて山をおりなければなりませんでした。


メフィスト編集長様へ

こんなネコ一族がいるのは、
独立精神が流れているコルシカ島だからなのです。

人間たちはフランスから独立する運動をしています。
牧場の中などには住まずに、野生の生活をしている家畜もたくさんいます。

そんなコルシカ島を紹介する話を続きとして書けるのですが、ご興味があるでしょうか?


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2004年1月

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