ブルゴーニュの食前酒
本場のキールとは?   (1)

Kir

キール酒はブルゴーニュの食前酒なのですが、その中でもディジョン市が本場です。戦後から20年余りディジョン市長を務めたキール氏にちなんで名づけられました。

キールはフランス人によく飲まれている食前酒なのですが、フランス国内でも少しブルゴーニュを離れて旅行したときにカフェでキールを注文すると、とんでもないキールが出てくることがよくあります!

本場ブルゴーニュではキールに対してこだわりがあります。本場のキールはどのように作るのか、さらにキール酒の歴史などもご紹介します。
ディジョンで最高のレストランで出されるキール酒

目次:
1. 本物のキールは何で作る?
2. キールには、白ワイン「アリゴテ」を使う
3. カシスのリキュールがキールの味を決める
4. キールは、調合の割合がポイント
5. キールは、ディジョンの市長キール氏が広めた食前酒
6. キールのバリエーション
7. 余談

 1. 本物のキールは何で作る?
キールはカクテルの一種なのですが、作り方はいたって簡単です。グラスにカシス(黒すぐり)のリキュールを少し注いでから、冷たく冷やした白ワインを注ぐだけなのです。スプーンなどでかき混ぜる必要もありません。

ただし、おいしいキールになるかどうかは、材料とするカシスのリキュールと、白ワインにかかっています。

キールの本場ブルゴーニュでは、材料となる2つの飲料にこだわりがあり、以下の条件を満たしていなければ本物のキールとは認めません。

 白ワインとしては、ブルゴーニュで生産される「アリゴテ」を使う!

 アルコール度の高い「クレーム・ド・カシス」を使う!


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ドメーヌ・アラン・ヴェルデ

ブルゴーニュ・アリゴテ.
= キール



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 2. キールには、白ワイン「アリゴテ」を使う
アリゴテでない白ワインを使った食前酒は、「キールKir)」とは呼ばずに、「ブラン・カシスBlanc cassis)」あるいは「ブラン・カスBlanc cass)」と呼ぶのが正式です。

クレーム・ド・カシスはかなり甘いリキュールですので、それとカクテルする白ワインには、酸味の強いアリゴテが適しています。

アリゴテはブルゴーニュワインの中では安い方のワインです。上質の白ワインを使ったら上質のキールができるわけではありません。第一、カシスのリキュールでワインの味は消されてしまうので、高級白ワインを使うのはもったいないです!

キールに欠かせない白ワイン「アリゴテ」について

ブルゴーニュの白ワインはシャルドネ種のブドウの木からとれるブドウを使うことが多いのですが、アリゴテ種から作られる白ワインもあり、それが「アリゴテAligoté)」という銘柄のワインになります。

ブルゴーニュの高級ワインはシャルドネ種で作られます。アリゴテ種から作られた白ワイン「ブルゴーニュ・アリゴテ(Bourgogne Aligoté)」も AOC(原産地呼称統制) を得ている上質ワインなのですが、酸味が強く、そのままで飲むには辛口すぎると感じる方もあるかも知れません。しかし、甘いリキュールとのカクテルにするには、これほど適したワインはないのです!
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なお、ブルゴーニュでアリゴテ種から作られる白ワインの銘柄には、唯一の例外があります。「ブーズロンBouzeron)」という銘柄です。アリゴテの中でも特に上質ということで、最近になってからAOCで独自の銘柄を持つことが認められました。従って、ワインラベルにも大きく「ブーズロン(Bouzeron)」と書かれているので、アリゴテだとは見分けにくいです。
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ブーズロンの中でも、定評があるのは、かのロマネ・コンティのオーナーでもあるヴィレーヌ社のワイン。お手軽価格なのではありますが、とても口当たりの良いワインなので、キールを作るのにはもったいように私は思います。キールを味わうときには、ほとんどクレーム・ド・カシスの風味になってしまいますので。
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アリゴテを使わない場合でも、必ず辛口のワインをお使いください。もっとも、アリゴテにも色々あります。キール用のアリゴテを探すときには、できるだけきついワイン、つまりそのまま飲むには口当たりが悪いくらいに渋いワインを選んでいます。つまり、ミレジムは古くないものを選ぶと良いでしょう。
 3. カシスのリキュールが、キールの味を決める
キールの味はクレーム・ド・カシスで決まると言っても過言ではありません。できるだけ質の高いものをお選びください。キールの本場である「ディジョン」と明記してあるものも選択の助けになるでしょう。

おいしいキールをお望みでしたら、クレーム・ド・カシスにこだわってください。これによって味は大きく変わります!


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アルコール度が高いリキュールであることが必要です。クレーム・ド・カシスCrème de cassis)ではなく、ノンアルコールのカシス・シロップ (sirop de cassis)を使うのは邪道です!

ただし、クレーム・ド・カシスはアルコール度強いので、お酒に弱い方はシロップで良いのかも知れません。それでも、しつこく、クレーム・ド・カシスの割合を減らして、白ワインが色づく程度のキールを味わっていただきたいですが...。
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←  有名なディジョンの老舗ルジェ・ラグルート社。
キールと呼ぶ食前酒が広まったとき、「キール」という名の商品を販売する権利があると主張して裁判をおこした会社です.。

日本への輸出量がとても多いようです。
私は味が好きではないのですけれど..。

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パリのカフェなどでとんでもないキールがでてるのは、白ワインがアリゴテでない以上に、ひどいカシスのリキュールを使っているからだと思っています。リキュールではなく、シロップさえも使っているよくあります。カクテルランクを下げれば、偽物のキールはいくらでも安くできてしまうのです。

クレーム・ド・カシスはキールを作るためだけに使えるのではありません。ストレートでも飲めますが、バニラ・アイスクリームの上から少したらしてみても、おいしいデザートになります。


一度、きつくて飲みにくいブルゴーニュのロゼワインが飲みきれないので、キールを作ってしまったことがありました。ピノ・ノワール種のブドウからつくられたロゼワインの中には、かなり渋みが強いものがあるのです。

正直いって、アリゴテで作ったキールにさほど劣るものではありませんでした。私が買っているクレーム・ド・カシスはワイン農家が小量生産しているもので素晴らしい風味があるので、ロゼワインでブレンドしてしまってもおいしかったです。

繰り返しますが、キールはクレーム・ド・カシスの風味で決まる、と思っています。
 4. キールは、調合の割合がポイント
クレーム・ド・カシス 1に対して、アリゴテ 2の割合でカクテルにするのが本来のキールだと言われますが、それだと濃厚すぎてしまいます。

クレームド・カシスと白ワインの割合は、1対3 あるいは1対4 くらいでしょう。ブルゴーニュでは、濃厚なキールを飲みます。

でも、カクテル割合はお好みでなさって良いと思います。クレーム・ド・カシスのアルコール度は高いので、お酒に弱い方は白ワインの分量を増やすと良いでしょう。

ただし、キールの地元ブルゴーニュでは、白ワインに薄い赤色が付いた程度のキールは嫌います。この色にならなければならない、という原則があるのです!

キールの色はカーディナル・レッド!

キールは枢機卿(カーディナル)の服の色(キリストが流した血のシンボル)をしていると、とブルゴーニュでは表現されます。

カーディナルの赤とは、ここで背景にしている色。
パソコンで色を出すときのコードは♯B82010。

私が自宅で作ったキールです

上に入れた写真のキールは、枢機卿の服の色と言われるに相応しいので入れてみました。カーディナルの赤は少し茶色味を帯びているらしいように見えるのですが、キールの色はもっと赤味が強いのが一般的ではないかという気もします。

次のページで紹介するキールのバリエーションには「カーディナル(枢機卿)」というものがあり、これは白ワインの代わりに赤ワインを使ったものだそうです。

おそらく、フランス人たちは何でもキリスト教関係のものに結び付けたいからではないでしょうか? 例えば、「野に咲く花々」のコーナーで紹介したフュザンも、その色から「司教の帽子」と呼ばれています。
色々なキール、キールの歴史などについてキールのバリエーション、
キールの歴史などについて 

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