家では働き者のフランス人
‐日曜大工とガーデニング‐
Au travail... chez soi !   (bricolage et jardinage)

 フランスはヴァカンスの国だと書いたのですが、フランス人は怠け者なのではありません。私生活のことになると、日本人が顔負けするくらい働き者なのです!

 このページでは、フランス人がどのような余暇を過ごしているかを調査したアンケートから、日曜大工とガーデニングがいかに普及しているかを紹介します。


日曜大工

  フランス人たちが日曜大工をするのは、素人という域を超えています。

 フランスには家を改善するために工事をする人たちがたくさんいます。マンションに住んでいる人は日曜大工をすると言っても、することが限られます。でも特に古い石造りの家に住んでいると、いつも何かしら具合が悪くなるので、いつも何かしら修復しているように感じます。

 余暇活動に関するアンケート調査結果をによると、フランス人の6割は日曜大工が好きだと答えているそうです。

 一軒家に住んでいる家庭では8割が電気ドリルを持っていることを見ても、いかに日曜大工が普及しているかが分かります。

 次の表は、どんな日曜大工をしたことがあるかを示すものです。普通なら業者に頼んでしまうようなことを、かなりの人たちがこなしています。
 壁紙を張ったことがあるかについての統計にありませんでした。そんな程度の日曜大工は誰でもするからでしょう。ただし最近は女性も日曜大工をするようになったという記述があって、9割の女性が壁紙を張ったことがあると書いてありました。

 日曜大工をしたことがないという男性は3割くらいあります。でも日本には、だんな様は「箸より重いものは持たない」いう言い方があるので、この割合はもっと高いのではないでしょうか?

 上の表は1999年の統計です。最近は週35時間労働になってきているので、日曜大工はもっと盛んになるだろうと言われています。

 日曜大工については、「家づくりに情熱を注ぐフランス人」のページも読んでくださったら、いかにフランス人が働き者かが分かっていただけると思います。


ガーデニングと家庭菜園

 フランス人でも一軒屋に住むことに憧れます。でも庭を持っている家庭は56%だそうです。庭の面積は近年狭くなって、平均約240坪。その4割は76坪以下だそうです。

 でも町の近くには市民農園や貸し農園もあります。ガーデニングをする人は、頻繁にしているのが53%、時たまが13%。全然しない人は34%しかいません。50歳から64歳の世代では、68%がガーデニングをしています。

 家庭菜園に関しては、少し割合が減ります。過去1年の間に家庭菜園で土いじりをしたかというアンケートでは、男性25%、女性17%がしたと答えていました。それでも日本に比べれば高い比率ではないでしょうか?


特に田舎で生活する人たちは働き者

 最近は農村へのユーターン組が増えたとはいえ、フランス人の4人に3人は都市部に住んでいます。と言っても人口密度が低いフランスのこと。人口2千人以上なら「町」となってしまうのです。

 フランス人は、人口が2万人を越すような町は、人がゴチャゴチャしていて息苦しいと感じるのだそうです。全世帯の1割強が別荘を持っています。

 フランスでは、ほとんどの住居にセントラルヒーティングがあり、半数近い家には食器洗い機があるというくらい近代化された生活をしています。でも田舎では、日本では考えられないくらい伝統的な生活にこだわっています。

 田舎に住んでいたら、家庭菜園を持つのは当たり前。本格的な人は、家族で食べるようにニワトリやウサギも飼っています。ヒツジまで飼っている民家さえあります。

 田舎にある古い家では、力持ちでないと生活していけないと感じます。家の修復もしなればなりません。それに田舎の家ならたいてい暖炉があり、薪を買います。暖炉で薪を燃すと、ダンボール箱1個に入れるくらいの量は簡単になくなりますので、物置小屋から薪を運ぶのも大変です。

 冬の間に森に行って暖炉で燃す木を切って、その年の分をストックしていたりする家もたくさんあります。お年寄りが住む家では、薪で集中暖房をしたりしています。薪で木を切るだけでも時間がかかる仕事ですが、大量に消費する薪を家の中に運びこむのも大変です。

 暖炉で薪を燃すだけでもかなりの量を消費しますが、薪でセントラルヒーティングをするとなると大変な量が必要です。

 例えば知り合いの70歳を超える夫妻の家では、ご主人が森で切った木でセントラル・ヒーティングをしています。ひと冬で使う薪は60ステールだと言われました。ちなみに、ステールというのは一辺が1メートルの立法体を指すのだそうです。つまり、このお家では高さ 1メートル、奥行き1メートルで薪を積むと、長さは60メートルになる、ということになります。

農村の民家の庭先においてある薪の山

 ともかくフランス人たちを見ていると、家では実に働き者だと思ってしまいます。戦後からずっと労働時間を少なくする運動が行われてきているのも、私生活の充実をはかるからなのでしょう。ただ単純に「怠けたい」というものではないのです!

作成: 2003年8月

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