マリアンヌ: 共和国のマスコット女性 (Marianne) |
フランスには、共和国の化身である「マリアンヌ」という女性がいます。通常切手にも使われているし、新聞の政治風刺マンガにも登場しますので、よく見かけます。
マリアンヌは正式に国が認めていて、「自由、平等、博愛」を象徴しています。
マリアンヌは、色々な姿で表現されます。ギリシャの知恵の女神アテーネーにも似ています。また、フランス革命時代の帽子をかぶっているように見えます。でもマリアンヌが被っている帽子は、もともとは、ローマ帝国時代に、自由の身となった奴隷のフリギア人がかぶっていた帽子なのだそうです。
マリアンヌは、フランス革命期に、自由のシンボルとして、フランス共和国を象徴するマスコットとして認められました。ポピュラーなファーストネームである「マリー・アンヌ」からつくられた名前だそうです。
その後、マリアンヌは皮肉を込めて使われることもありましたが、19世紀末からフランスの象徴として広く普及するようになりました。
20世紀になると、役場や学校が次々に、マリアンヌ像を飾るようになりました。
現在では、マリアンヌ像はフリギア帽を被るのが正式とされていますが、顔には制限がないようです。
ちなみに、役場が注文したマリアンヌ像のモデルで、最もよく売れたのは、映画俳優のカトリーヌ・ドヌーブとブリジット・バルドーだそうです。
右の写真は、先日訪れた役場で、暖炉の上に飾ってあったマリアンヌ像です。
先代の村長が注文したそうで、ブリジット・バルドーがモデルのものでした。
胸をあらわにしたスターが象徴するフランス共和国です!
マリアンヌの顔は、通常切手でもよく使われています。
どんな切手があるのか写真で紹介しているサイト:
・Les Mariannes
・Les visages de la France depuis 1849
フランス・ワインがお好きな方は、マリアンヌに親しみを持たれているかも知れませんね。
右に入れたのはワイン・ボトルのキャップです。
酒税を払ったワインだという印にもなっています。ここにもマリアンヌは描かれていますね。
【フランス革命が残したもの】
フランスのシンボルである国歌も、三色旗も、マリアンヌも、フランス革命の遺物です。
フランス革命が、フランス国家にとって利益になることだけを残したというわけではない、ということを付け加えたくなりました。
かなりの文化財が、フランス革命のときに破壊されたのです。
フランスを観光なさった方は、教会の外壁を飾っている彫像に奇妙なものがあるのに気づかれなかったでしょうか?
左の写真をご覧ください。首から上が、体と全く釣り合っていません!
革命期には、貴族に対するのと同様に、教会の権力に対しても憎悪の的となりました。
そして、各地で教会の彫像が破壊されました。ギロチンのように、聖人たちの頭が切り落とされたのです。
どこかにあった頭の部分を下手につけて修復すると、この写真のようになってしまいます。
たいていは、少し見ただけでは分からないように修復されていますが、今だに頭がない聖人の像が数多く残っています。
ブルゴーニュ地方の行政中心地ディジョン市にあるノートルダム教会などは、教会の入り口の壁面をかざっていた無数の彫像が、みごとに剥ぎ取られていて、修復しようもない状態になっています。
ブルゴーニュ地方にあるクリュニー修道院などのように、建物の大半が解体されて、石材として売られてしまった所もあります。
フランス革命の代償
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更新: 2008年7月 |
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