チーズ工房見学
<エメンタール・チーズ>

目次:
JTB 『フランス田舎めぐり 〜田園で過ごす癒しの旅のすすめ』 より

気ままな旅をしていて、どの村に宿をとって良いか分からないとき、チーズの銘柄になっている名前の村を選んだことがあった。カマンベールやロックフォールは、地名でもあるのだ。サンネクテール、エポワスなどは、とても美しい村でもあった。チーズの産地に泊まれば、翌日には、チーズ博物館やチーズ作りを見に行くというアクティビティーが生まれる。

ヤギのチーズの産地でヴァカンスを過ごしたときには、近所の農家を回ってチーズを買い、どの農家のチーズが一番おいしいかを食べ比べてみた。同じ地方で、同じ品種のヤギで生産されていながら、農家によって、これほどチーズの味が違うものかと驚いたものだ。



 朝市のチーズ屋さん

いつも行く朝市のチーズ屋さんが、たまたま友人の親戚だったと分かりました。友人に誘われて、彼らの小さなチーズ工房を見学することにしました。

スイス出身のお家。チーズ工房では、エメンタール (Emmental) というハードタイプの大きなチーズを作っています。

【朝市の売店】

お店で売られているチーズは、1kg当たり800円から2,000円くらいの値段でした。100g当たりの価格ではありませんので、念のため! (1ユーロ=130円で計算しました)

その中で最も安いチーズがエメンタール。

量り売りのクリーム(左の写真)や、自家製バターも買えます。工場の大量生産と違って絶品です!


(2003年)



 私にとっては馴染みがなかったエメンタール・チーズ

本当を言って、私はほとんどエメンタールを買うことがありませんでした。そのまま食べるというよりは、グラタンやフォンデューなどの料理に使うことがある程度でした。エメンタールには大量生産された美味しくないものが多くあるので、敬遠していたのだと思います。

フランスでは、エメンタールは安いチーズの代表のように扱われているように感じます。スイスの代表的なチーズなのですが、お客様をよんでの食事会で出されるチーズ盛り合わせ皿にエメンタールものっているのは、チーズにこだわらない家か、少し貧しいお家かも知れません。

ここブルゴーニュでは、エメンタールと同じカテゴリーにされる大型ハードタイプのチーズの中では、おいしいとされているのはコンテというチーズです。隣のジュラ地方でつくられるので、ブルゴーニュではよく食べられているチーズなのだと思います。チーズ・フォンデューも、贅沢にコンテでつくったりもします。コンテの値段はエメンタールの倍くらいします。

ところが、この朝市で売っているエメンタール・チーズは、特別においしいとの評判がありました。


世界で一番大きなチーズ
エメンタール
VS
本場フランスで一番の人気
コンテ AOC


 エメンタールのチーズ工房を見学
 
小さな村にあるチーズ工房で、まず迎えてくれたのは巨大なミルク貯蔵庫。

これだけのミルクを使ってしまうとは驚き!

牛乳12リットルからエメタールチーズ1キロができるそうです。

固まったチーズは、冷温室で1カ月、寒いときには少し暖房もする部屋で3ヶ月寝かせるそうです。暖房を入れないと熟成に時間がかかり、数百ものチーズをストックする経費が大きくなりすぎてしまうのだとの説明でした。

ここのエメンタールは、1個が直径75センチくらい、重さは70キロくらいあります。消費者価格で1個6万円弱の価格。こうなると安いのか高いのか分からなくなります!
         
この巨大なチーズを乾燥させている間には、チーズの裏表を変える必要があります。昔は手でチーズをひっくり返していたのだそうですが、今は機械で簡単にできます。

工房には時々子どもたちの見学もあるそうで、チーズの生産過程を説明したパンフレットもいただきました。

    
 
見学が終わると、ご主人が家のバルコニーに私たちを誘って、スパークリング・ワインと赤ワインのボトルを出してくださいました。

フランスの田舎では、いくらミルクを扱っている家でも、お茶やミルクなどでもてなすことはないのです! といっても酪農家を取材訪問したときには、ミルクをベースにした美味しい食前酒を出してくださったこともありました。

こんなときに「お酒は飲めません」などと冷たく言ってしまったら、お友達にはなれません!

チーズの生産過程を見て、今までは何となく敬遠していたエメンタールに親しみが持てるようになりました。
作成: 2003年7月

ミルクを出荷している酪農家については、「ネコのおしゃべり」のコーナーが紹介しています

ブルゴーニュのチーズの紹介は、こちら



  
チーズを世界中から集めたグルメMAP! フランス産チーズを検索
エメンタール・チーズを検索


Home

Copyright © Bourgognissimo. All Rights Reserved.