フランスのご馳走: フォアグラ (Foie gras)

レシピ: フォアグラのテリーヌ

家庭で作った鴨のフォアグラのテリーヌ

フレッシュのフォアグラをポルトーとコニャックでマリネし、オーブンで蒸し焼きにしたテリーヌ

フランスの白い食器
八角テリーヌ(蓋つき)
 目次: 世界三大珍味のフォアグラとは?
フォアグラのテリーヌ フォアグラのテリーヌを味わうには? レシピ: フォアグラのテリーヌ
フォアグラはテリーヌにするだけではない
レシピ: フォアグラのテリーヌ
必要な道具は?  フォアグラのテリーヌのバリエーション  おいしく作るコツは?  レシピ
フォアグラの代表的な料理はテリーヌ。

鴨のフォアグラ(冷蔵)
フランス・ペリゴール産
始めのページでご紹介した生の状態のフォアグラを手に入れれば、家庭でもフォアグラのテリーヌを作ることができます。

本格的なフォアグラを作るためには道具も必要なのですが、どの家にもあるものだけで作れるレシピもあります。

コツさえ覚えれば、フォアグラのテリーヌを作るのはそう難しくはありません。このページでは、フォアグラのテリーヌを作るレシピの他、フランスのビデオ(7本)へのリンクを入れて、フォアグラをどのように作るのかをご紹介します。

フォアグラのテリーヌを作るために必要な道具は?

「テリーヌ」とは、肉や魚や野菜などを蓋付きのテリーヌと呼ばれる容器に入れてオーブンで焼き上げた料理のことです。

フォアグラのテリーヌも、原則的には蓋付きのテリーヌ型で作ったものとなります。

【アウトレット】角型テリーヌ

リヴォル 蓋付角テリーヌ14.5cm

テリーヌには鉄鋳物のものもありますが、フォアグラのテリーヌでは、普通、陶磁器製のものを使います。また、蓋には穴は開いていません。穴が開いているテリーヌしか持っていない場合には、穴を塞いだりすると良いかも知れません。

テリーヌ型は、大きすぎるものよりは、小さすぎる方が良いです。フォアグラを詰めたとき、丈夫までギリギリになる大きさが好ましいです。

フォアグラを作るためのテリーヌ型として理想的なのは、次のようなタイプです:
Le Creuset - Terrine à Foie gras (0.6 リットル)
*取り外し可能な中蓋があるのがミソなのですが、下に入れるレシピをご覧になると、なぜかお分かりになります。

フランスではフォアグラのテリーヌを作るための道具が色々と販売されています。作ろうかと思う人がビビってしまうのは、特別な道具が必要らしい、温度管理が難しいらしいと聞くからでしょう。

ところが、どの家庭にでもある道具だけで作れるレシピもあります
フォアグラのテリーヌを作るための道具

フランスのアマゾンでフォアグラ用として販売されているアイテム。
気になる商品をクリックすればネットショップの詳細ページが開きますが、フランス語です...。

フォアグラのテリーヌのバリエーション

「テリーヌ」と呼ばれる容器で作るのがテリーヌなのですが、同じような出来上がりになる調理法もあります。

テリーヌ・ド・フォアグラTerrine de foie gras
フォアグラをテリーヌに詰めて、オーブンで湯せんで焼きます。
簡単版として、電子レンジで調理するレシピもありました!

フォアグラ・オ・トルションFoie gras au torchon
トルションとは布きんのこと。フォアグラをきっちりと布きんで包み、鍋でゆで上げます。
簡単版として、布きんの代わりにラップで包むレシピもあり、これは「バロタン・ド・フォアグラBallotin de foie gras)」と呼ばれます。

おいしく調理するコツは?

テリーヌ型に入れてオーブンで調理するか、布きんやラップで包んで茹でるかにしても、生のフォアグラの下ごしらえ方法は同じです。

幾つかのポイントがあります。レシピをご紹介する前に、それを見ておきましょう。

質がよく新鮮なフォアグラを入手すること。やはり、冷凍よりはフレッシュなフォアグラを使いたいです。指で押して、押した跡が残るのが新鮮なフォアグラの証拠だそうです。

質の悪いものは脂分が多く、味も落ちます。強制飼育して育てるフォアグラですが、むやみに太らせたりする生産者のものは避けましょう。目安として、余りにも大きなものは避けます。
このページの上に入れた写真のテリーヌには脂身がほとんど見えません。このような素材が理想です。

フォアグラ(レバー)に入っている筋(血管)をしっかりと取り除くこと。

血抜きのために冷水やミルクに少し漬けるというのもありますが、必要なのでしょうか? なお、フランスでは予め血管を取り除いたフォアグラもスーパーなどでは売っています。

*血管がある場所は決まっているので(大きな血管は、大きな身の方に2本、小さな身の方に1本)、そこを狙って抜きます。でも、後で固めて調理しますので、形を崩してしまっても気にすることはありません!

フォアグラの筋の取り方を見せるビデオ:Déveiner un lobe de foie gras de canard frais

フォアグラの下味づけ:
お酒少々をしみこませると風味が高まります。ポートワイン、それからコニャック(あるいはアルマニャックカルヴァドス)が定番です。

あとは塩、胡椒。塩が強すぎると取り返しがつきません。少なめにしておいて、もし塩が少なすぎると感じたときには、フォアグラを出すときに塩の花(フレール・ド・セル)を添えて出すと良いでしょう。

*その他にも香辛料を入れるレシピがありますが、せっかくのフォアグラの風味を損なうようで、私自身は好きではありません。

調理の温度や時間に注意を払う。

*加熱しすぎてパサパサにならないことがポイント。「ミ・キュイ」と呼ばれる生焼けくらいの方が風味があります。それでも、ステーキにしても生焼けが好きな人と、しっかり火を通した人がいるように、フォアグラも好みがあるでしょう。

出来上がったら、しっかり脂を取り除くこと。
*この脂は日持ちします。冷蔵庫で保存しておけば、ラードのようにオイルとして使うことができます。

フォアグラは、できたてがおいしいのではありません。1日~3日、冷蔵庫で寝かせてからいただきます。

レシピ: フォアグラのテリーヌの作り方

色々なレシピがあります。ここでは、フォアグラのテリーヌの他に、布きんやラップで包んで調理する方法もご紹介します。
フォアグラのテリーヌ
どんな風に作るかは、ビデオを見ていただいた方が分かりやすいと思います。

下にリンクするのはフランスのテレビ料理番組のビデオなのですが、日本語の字幕が入っています。進行役を務めているのは、フランス料理界の大御所ジョエル・ロブション

フォアグラのテリーヌ(ガチョウ)
*初めにPRが流れると思いますが、お待ちください。
お酒で下ごしらえをしていないのが不満なのですが...。
フォアグラのテリーヌミ・キュイ
レベルの高いレストランで自家製のフォアグラを出すときには、「ミ・キュイ(mi-cuit:レア)」と表示したテリーヌを出すことが多いように思います。加熱時間を短くして、フォアグラの風味を最大限に出しているので、日持ちはしません。しかし、大量生産のフォアグラとは明らかに異なったホームメイドのフォアグラになります。

いつも美味しいフォアグラを作ってくれる友人のレシピもご紹介しておきます。テリーヌ型は使いますが、温度計もなし、脂を抜くために必要な蓋はべニア板にアルミホイルを巻いた手作りです。

鴨のフォアグラ ミ・キュイ(Foie gras de canard mi-cuit) :

材料:
道具:
  • ボール
  • テリーヌ型(フォアグラの容量のサイズ)
  • テリーヌの中蓋 (手製)
  • 重石
  • オーブン
  • 湯せん用の皿
  • 少し深さがある西洋皿




作り方:
フォアグラに入っている赤い筋(血管)を丁寧に取り除く。

ボールにのフォアグラを入れ、塩 小さじ1杯、胡椒少々(胡椒ひきで3回まわす量)、コニャック、ポートワインを加え、よく混ぜ合わせる。

をラップし、冷蔵庫に入れて一晩ねかせてマリネする。

フォアグラの量にあった大きさのテリーヌにを入れ、隙間ができないようにしっかりと押さえこんでからテリーヌの蓋をする。

湯を入れた器にフォアグラを入れる。

熱くなったオーブン(120度)にを器ごと入れ、湯せんする。
*焼く時間は、最高でも12~15分にとどめること!

テリーヌをオーブンから出し、少し深みのある皿の上に置く。
生け花で使う剣山を乗せてしまいました!
黄色いのがこぼれ出た脂分です。

テリーヌの蓋を除き、すっぽり入る大きさの板を乗せ、それに重石を乗せて脂分を十分に流し出させる

*外にこぼれた脂は捨てません。何かを炒めるときに香り豊かなオイルとして使えます。

冷めたらテリーヌの蓋をしめ、48時間冷蔵庫に入れておいてから食べる
*このレシピは加熱時間を短くしているので、数日のうちに食べ終えること。
瓶詰のフォアグラのテリーヌ(保存用)
テリーヌ型で調理したものは、添加物も入れないのですぐに食べる必要があります。耐熱ガラスの密閉保存瓶( フィドジャー )でテリーヌを作れば、必要なときに開けて食べることができるので便利です。

鴨やガチョウを飼育している農家の手作り商品も、このような瓶入りで売られています(右の写真)。



プロも愛する保存容器【ドイツ製】
保存用のフォアグラのテリーヌの作り方を見せるビデオ:
Terrine de foie gras
フォアグラ・オ・トルション(布きんでフォアグラを包んで調理する)

ワイン、ブランデーで味付けした丸いテリーヌ
白いトウションで巻いています
テリーヌと同様に伝統的な調理法。下ごしらえはテリーヌを使う場合と同じです。それをテリーヌに入れてオーブンで焼くのではなく、布きん(トルション)で包んで鍋で煮ます。

テリーヌよりは出会う機会が少ない調理法です。レストランのメニューにあったときにフランス人たちが喜んでいるところを見ると、この作り方は素人には難しいのではないかという気がしています。

どんな風に布きんで包むのかはビデオをご覧ください。
鴨のフォアグラ・オ・トルション: Foie gras au torchon
布きんで包んでゆでるレシピ。血管の取り除き方もよく見れます。

このビデオの下にはレシピが書いてあります(英語に自動翻訳させたページを開く)。
日本語にも翻訳できるのですが、酷すぎる訳なので英語にしました

ビデオのレシピではミルクと水を混ぜた中に1時間ひたしていますが、血が多い場合に必要とのことです。

塩少々入れた水が沸騰したときに布きんに巻いたフォアグラを入れ、再び沸騰したらただちに火を止めます。鍋に蓋をして、常温に冷えるまで入れておきます。

最後はラップで包んでいますが、きれいに見せるためには新しい布きんに巻きなおすのだそうです。テリーヌ型で作るより手間がかかっていますね。
バロタン・ド・フォアグラ(ラップで包んで調理する)
上に書いた布きんで包む調理法の現代版。ラップできっちりフォアグラを包みます。

下は家庭で簡単に作れる調理法を見せるビデオです。

ホームメイドのフォアグラ: Le foie gras maison
作業の分解写真英語自動翻訳ページ | 文章での説明英語自動翻訳ページ

鍋に入れた水の温度が80度になったときにフォアグラを入れます。ミ・キュイ(レア)なら10分、よく火を通すなら15分煮ます。
このとき、温度が常に78度から82度であるように注意します。そのためには、鍋に水をいっぱい入れず、弱火で煮ること。そして沸騰してきてしまったら、冷たい水を入れて温度を下げます。
電子レンジで作るフォアグラのテリーヌ
フォアグラのテリーヌには色々な作り方やコツがあるようです。


100度を超える過熱水蒸気でヘルシー調理
オーブン電子レンジ
なんと、電子レンジで作ってしまうというレシピまでありました!

高貴な素材であるフォアグラを電子レンジで調理するのには抵抗があるのですが、失敗の恐れがないので便利なようです。

テリーヌ型に入れて作れば、食べる人はまさか電子レンジで作ったとは思わずに「おいしい!」と食べるのだそうです。テリーヌ型がなくても作れるのは長所でしょうね。

下ごしらえとテリーヌ型に入れる所までは、普通のテリーヌと同じです。

レシピ 1:
マリネした後、常温になるまでおき、それから電子レンジに入れます。調理時間はフォアグラ50グラムに対して20秒(400グラムのフォアグラの場合は2分20秒)。途中でフォアグラにナイフを刺しこみ、歯が暖かくなっていたらフォアグラは調理されたという目安になります。48時間寝かせてから食べます。

レシピ 2:
テリーヌの蓋をして、電子レンジ800Wで3~4分加熱する。蓋をとって出来上がったフォアグラの表面を押し、脂が表面に少し残る程度までにする。冷めたら冷蔵庫に入れ、1~3日たったら食べごろになる。

レシピ 3:
フォアグラを加熱して脂をこしてから型に入れる、という方法のビデオもありました。
電子レンジのテリーヌ:Terrine de foie Gras au micro onde
*こちらは1分30秒で調理しています。


フォアグラは加熱すると余分な脂が出るので、レシピ 3のように先に加熱してから脂を除いてテリーヌ型に入れて固める、というやり方はあるようです。
鴨のフォアグラのテリーヌ: Recette de foie gras mi-cuit
*脂がおそろしいほどでているのはフォアグラの質の悪さだと思うのですが、このビデオのフォアグラはおいしそうには見えないです...。
フォアグラは様々な料理にすることもできますし、
フォアグラ用のカモやガチョウからはマグレというステーキ肉もとれます。

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