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フォアグラは世界の三大珍味の一つ。フランスでも代表的なご馳走のイメージを持っています。 内部リンク: フランスのクリスマスのご馳走とは? フランス語で「Foie gras (フォア・グラ)」。「フォア」とは肝臓(レバー)、「グラ」とは「肥大した、脂肪分が多い」という意味です。強制的に過分な餌を与えたガチョウやカモには肥大した肝臓がつくられ、そのレバーの部分をフォアグラと呼びます。 残酷と批判されることもある飼育法から生まれるフォアグラなのですが、とろけるような美味は珍重されても当然といえる産物です! |
フォアグラとは? |
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フォアグラとは高級レバーなわけですが、強制給餌(gavage: ガヴァージュ)で使用されるのはガチョウ(oie: ロワ))ないし鴨(canard: カナール)。
強制的に食べさせて肝臓を肥大させて、肝臓の一部を脂肪に変化させてフォアグラをつくります。 残酷ではありますが、美食の貪欲な追及!... しかし、確かに世界の三大珍味といわれるに相応しく、他にはないおいしさがあります。 フォアグラ用にされるガチョウやカモは、生まれたときから過食をさせて太らせるわけではありません。 強制給餌(gavage: ガヴァージュ)は、カモの場合で4カ月、ガチョウで5カ月のときに始めます。ガヴァージュの期間は、カモが2週間、ガチョウが3週間。 ガヴァ―ジュが始まるまでは、鳥たちは小屋に閉じ込められているわけではなく、外を駆け回ることができます(画像へ)。 なお、水鳥であればすべてフォアグラを作ることができるわけではありません。フランスでは、次の3種類がフォアグラ用に使用されています。 - カモ: canard mulard、canard barbarie - ガチョウ: oie landaise 画像へ 交配によってできる種類の画像へ フォアグラ飼育の詳細情報: INRA >> Production de Foie Gras,Gavage et Bien-être |
強制給餌(ガヴァージュ)は、フランス人が考案したのではない |
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フォアグラは代表的なフランスの食品ですが、すでに古代エジプト時代にも強制給餌(ガヴァージュ)は行われていたそうです(墓に残るガチョウの強制給餌の画像)。 エスカルゴも、古代ローマ時代に飼育されていたという記録があるので、今の私たちにとって代表的なフランス料理といわれるものの中には、古いルーツを持つものもあるようです。 内部リンク: エスカルゴの本場はブルゴーニュ エジプトのガヴァージュの伝統は、ユダヤ人たちに取り入れられました。ラード(豚の脂)を食べることが禁じられていたため、その代わりに用いられたそうです。 古代ギリシャでもフォアグラに関する記録がありますが、古代ローマ時代には特に珍重されたようです。ローマ人たちはフォアグラのことを「Jecur ficatum(イチジク・レバー)」と呼んでいたのですが、乾燥したイチジクを食べさせるガヴァージュをしていたからです。 フランスでは、南西部のアキテーヌ地方で4世紀にカモとガチョウのフォアグラが生産されていたという記録があります。15世紀にはフランスにトウモロコシが入りましたので、その頃からトウモロコシでガヴァージュが行われるようになったと想像できます。フランス東部では、ユダヤ人社会の中でスパイスを数多くいれたフォアグラのレシピが誕生します。 18世紀になると料理や美食の本の中で盛んにフォアグラが取り上げられます。19世紀、ナポレオンの時代には軍隊の食物とするのに便利な瓶詰や缶詰の技術が生まれ、フォアグラも今日見るような瓶詰や缶詰の保存食とされるようになりました。 フランス人はフォアグラが好き! フランスでは、南西部とアルザス地方がフォアグラの産地として名高いのですが、現在ではフランス各地でフォアグラが生産されています。 今日ではフォアグラはフランスの食文化となっており、世界で生産されるフォアグラの約8近くがフランスでつくられていますが(19,000トン強!)、大半はフランス国内で消費されてしまうようです。フランス人は本当にフォアグラが好きなのですね! フランス人は好き嫌いがはっきりしているので、「魚介類は絶対に食べない」、「チーズはコンテのようなハードタイプでなければ食べない」と言う友人が何人もいるのですが、「フォアグラは嫌い」というフランス人にはまだ会ったことがありません。 昔はクリスマスのときにしか食べないような高級食材だったのでしょうが、今では珍しいというよりは「ありふれている」とさえ言えるような食材です。「ご馳走=フォアグラ」というのがあるからです。レストランの料金が高いセットメニューでは、前菜のチョイスとしてフォアグラを入れていることが多いです。 フォアグラの歴史について: Histoire du foie gras - le gavage |
フレッシュのフォアグラ |
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ガチョウのフォアグラと鴨のフォアグラがあるわけですが、どちらが好きかは人によります。はっきり言えることは、ガチョウの方がずっと大きいこと。 フランスでも「フォアグラ」と言えばテリーヌにした食品になりますが、加工していないフォアグラを買えば色々に料理できます。 生の丸ごとの食材であることを特定するときは、「foie gras entier」という言葉などで表現します。そのような肝臓は、大小2つの部分からなっています。
朝市などでは、ガチョウや鴨を飼育している農家などが生のフォアグラや加工食品を売っていますが、肉屋さんにフレッシュのフォアグラがあることは稀です。よく見かけるのはカモのフォアグラ。フォアグラの生産が非常に盛んな地方でない限りは、ガチョウのフォアグラを入手するのは難しいです。 店頭にたくさんのフォアグラを見かけるのは、クリスマスが近づいたときです! フォアグラを取り出す 生のフォアグラを入手するときは、普通は上にリンクを入れたような真空パック状態のフォアグラを買います。 でも中には、フォアグラ用に飼育した鴨を農家から一羽買って、自分で肝臓を取り出す人もいます。慣れると、ポッコリと取りだすことができるのだそうです。
良いフォアグラの見極め方法 生のフォアグラは、指先で押したときに、へこんだままのものが新鮮なのだそうです。押したときに戻ってきてしまうようだと、鮮度が落ちるということになります。 また、余り脂分が多すぎるものも好まれません。調理したときに脂分として失ってしまいますし、余り脂っこいのはおいしくありません。また、無理に肥大させた健康的には育てられなかったと見られるからでもあります。 |
最も簡単なフォアグラ料理はソテー |
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フォアグラの料理として最も有名なのは、次のページに書くテリーヌです。それから、美食家だった作曲家ロッシーニの名をつけた「Tournedos Rossini(トゥルヌド・ロッシーニ)」という料理。トゥルヌド(脂で円筒形に巻き,糸でしばった牛のヒレ肉)の上にフォアグラとトリュフをのせるというものです。 ただし、生のフォアグラはスライスしてフライパンでソテーにするだけでも美味しいです。この方がたくさん食べられるので、なにもテリーヌにしなくても良いとさえ思ってしまいます。
フォアグラはとても脂分が多いので、ソテーをするときにはフライパンに油をひく必要はありません。そのままソテーするか、小麦粉をまぶしてからソテーにするかは好き好きのようです。 ソテーの作り方を見せるビデオ:
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