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@ 万聖節と墓参り (Toussaint) |
フランスでは11月1日は「Toussaint(トゥーサン)」と呼ばれる祭日。 この祭日があるころにお墓参りをする習慣があります。 11月1日は「万聖節(諸聖人の日)」で、冬が来たことを告げる 11月1日はカトリック教の祭日で、全ての聖人と殉教者を記念する日となっています。フランス語では「Toussaint(トゥーサン)、日本語では「万聖節(あるいは、諸聖人の日)」と呼ばれます。 トゥーサンの習慣はは5世紀にはすでに存在していたのですが、9世紀になってから11月1日を諸聖人の日とするようになりました。 現在のフランスでは、祝日となっています。 内部リンク: フランスの祝祭日 >>日常生活に関係する祭日一覧表 クリスチャンでなければ諸聖人の日は関係ないのですが、日常生活でも大きな節目になっています。 中部フランスでは気温がかなり下がってくる時期で、長く暗い冬の始まりを告げる日になります。冬の間にはオープンしない観光施設では、この諸聖人の日から春の復活祭までを選んでいることもよくあります。 夏時間から冬時間になるのもこの時期なので、日が暮れるのが早くなってしまいます。なぜかトゥーサンの日は、お天気が悪い日ことが多いのも特徴の一つ。 諸聖人の日に明るいイメージがないのには、もう一つ理由があります。 11月2日は「死者の日」で、墓参りをする日 カトリック教では、諸聖人の日は全ての聖人を思い出す日であるのに対して、翌日の11月2日は「死者の日(Défunts)」となっていて、亡くなった人を忍ぶ日とされています。 こちらの風習は、ブルゴーニュ地方にあるクリュニー修道院の院長が定めたものでした(998年)。亡くなった僧侶たちの命日に行っているミサを、まとめて11月2日にすることにしたのです。それが世界中の教会に広まり、さらには一般の人々も親しい人に対して行うようになりました。つまり、日本のお盆やお彼岸のような日の役割を果たす日になったわけです。。 本来は死者の日にお墓参りをすべきなのですが、諸聖人の日にする人が多いです。11月1日が祭日であるのに対して、11月2日はお休みではないのが理由。従って、フランス人の中でも11月1日が死者の日だと思っている人がいるそうです。また、11月になる前後で都合の良い日にお墓参りする人も多いです。 諸聖人の日のころには学校が秋休み(トゥーサンのヴァカンス)となることもあって、この時期に帰省する人も多いため、ちょっとしたヴァカンスシーズンになります。 10月も中旬になると花屋では墓地に持っていく鉢植えをたくさん置き、11月になると墓地はお花でいっぱいになります。親戚が集まって住んでいるような田舎では、とくにお墓参りが多いらしく、小さな村の墓地などは下の写真のように華やかになってしまいます。 |
お花だらけになった墓地 |
あたかも鉢植えのようにつくられた造花も飾られます。亡くなった人だからといって地味にする必要はないらしく、この時期には色とりどりの花が売られます。 |
菊はお墓の花 お墓に持って行く花で圧倒的に多いのは、菊の花です。 花屋さんでも、この時期には大量に菊の鉢植えが売られます。大きなスーパーマーケットなどでは、菊の鉢植えを売るための特設会場をつくったりもします。 |
朝市に並べられた菊の鉢植え |
なぜ万聖節のお墓参りには菊の花なのか? 寒さが厳しくなっている頃なので、外に置いておいても凍らない花は菊くらいしかないのが理由です。 菊は墓参りの花というイメージが非常に強いので、招待されたときに菊の花束などを持っていくのはフランスでは厳禁です! 日本人にとって菊は日本的に思えるので花束にして持って行ったら、嫌な顔をされたという失敗談も聞いたことがあります。 |
万聖節(11月1日)の前夜がハロウィーンです。 |
作成: 2003年10月 最終更新:2010年11月 |
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